第4話
雲ひとつない青空のもとたくさんの子供たちが町の広場にて声高く遊んでいた。母が旅立った日から2週間程経った。その端の方を見ると佇むシェリアの顔は雨のち曇り。その目はほのかに赤く腫れていた。
「シェリー!ごめんね。おまたせ!」
そこにひとりの女性が話しかける。シェリアの友達であるメラルである。
「あぁ、メラルちゃん。大丈夫だよ、ありがとうね」
赤く腫れた目元を気にしてかシェリアはメラルの目を見て話す事は出来ない。少し下を見て感謝を述べる。それを見たメラルはシェリアを強く抱きしめた。「メラルちゃん、苦しいよ」シェリアはメラルの肩を2回叩きながら笑いかけていた。
2人はその後メラルの奢りということでご飯を食べに行くことになった。シェリアにとってあの日以来のしっかりとした食事だ。空腹といういう感覚を忘れていたシェリアでもメラルと会って少し安心したのかお腹の虫が盛大に鳴り響く。「もう、あたしもそんなにお金もらってないんだからね!」そんな風にメラルはおどけて見せる。あの日以来初めてシェリアは笑った。
「今日はありがとうねメラルちゃん。」
「ううん、シェリー何かあったら頼ってよ?力になりたいから」
メラルは笑顔で手を差し伸べる。その手はまるで地獄に垂れた一本の細い糸。そんな風に感じられた。
「よぉ、シェリアじゃねぇか」
名前を呼ばれた方に目をやるとハーツが手を挙げながらこちらに近づいて来ていた。
「ちょ、ちょっとシェリー?落ち込んでると思ったらあんなにかっこいい男侍らせてたの!?」
メラルは小声でシェリアに問いかける。
(かっこいい?確かに目鼻立ちはしっかりしてて助けてくれる男らしさもある。ってあれ、、)
あの時は気が動転していてあまり顔を見れていなかったがハーツはわりと、いやかなりイケメンの部類だとメラルの一声でシェリアは気づかされる。
「そんなことないよ!!」
首が回って空を飛んでしまうのじゃないかと思われるほどの勢いで首を横に振りながら答えるシェリアの頬は夕焼けのようにほんのり赤く染まっていた。目に薄く伸びた影を残して。
賽を投げる人差し指 RinG @ring-
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