第3話
フェドゥはふぅっと呼吸を整え再び刀を構える。ナルシャが前へ体重を乗せたその時。
「うーん、これはすごいですわ。でも。」
前へ進もうとしたナルシャはその大きな図体を急ぎ後ろへ後退させた。その直後、ナルシャがいたその場所は空間が歪み地面に無数の斬撃を放つ。
「ほう、危ないところだった。」
ナルシャのその細い目は一層吊り上げられ30メートル離れたフェドゥをジッと見据える。
「"向けられた敵意の罠"ふふ、ナルシャ様はこれで倒れないとは思いましたがまさか擦りもしないのですね」
フェドゥはニヤリと頬を緩ますと攻勢にでる。一方ナルシャはというとなぜ今自らが切り込まれたのか分からないというようにその広い額に汗を滴らせた。
(ひとつは斬撃を瞬間移動させた可能性だ。その場で放つ斬撃を瞬時に空間と空間を繋ぐ。だがそれには放つという動作を行っていないのはおかしい。もうひとつは他の者の戦闘への干渉。だがこれも2人以外の気配は全く感じない。残る可能性は、。)
そんなことを考えているとフェドゥのその刀はナルシャを捉えようとしていた。またひとつ後ろへ後退するナルシャ。
「豪火饗宴!」
そのナルシャの言葉と同時にフェドゥの足元で爆発が起こり周囲は炎の海と化した。追撃を狙いナルシャは前へ前進を試みるもまた後退する。その直後。ナルシャのいた所は空間が歪み無数の斬撃が地を切り刻む。先ほどと同じ攻撃を再び目視したのだナルシャは結論付けるのに申し分なかった。
「ふふふ、ナルシャ様は再び避けるのねぇ」
炎が包む地から一箇所炎が掻き消えると思うとそこからフェドゥが姿を現す。
「ふん、設置型罠とは小癪な、、」
向けられた敵意の罠とは自らが設置する罠であったのだ。そこを踏み抜こうとする感情が起爆剤。そしてそれはフェドゥが通った道の中でどこにあるか分からない。その事実を前にナルシャは思うように動けない。
「罠の前に思うように動けない様子ですわね。2度避けたナルシャ様でも“全て"避け切れるかしら?」
フェドゥは一歩、また一歩とナルシャに歩み寄る。その狂気じみた笑顔を携えて。
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