(後)およそ1000年の時を遡り復活! マジカル♡またぎ🐻魔女っ子☆ゆきちゃん爆誕✴(後編)

魔女っ子★ゆきちゃん

ダメパパから異世界無双勇者への大どんでん返し✨

1 おにいちゃんだけでもたすかって


 くと、宙空ちゅうくうから自分じぶんわれている様子ようすながめていた。たましい身体からだからたのだ。

 おにいちゃんのことがになってさがしてみる。いた!

 ちゅうおよぐようにおにいちゃんのもとへとかう。

 たましいはゆっくりとてんへとかう仕組しくみになっているのだろう。それにさからって、ななした目指めざおよいでいく。ほんのすうmがとおい。やっとのことで辿たどいた。

「おにいちゃん、なにやっているの? はやげて!」

 わたしこえとどかない。とかげが自分じぶんのしっぽをおとりげるように、おにいちゃんには、わたしべられているうちに安全あんぜんなところまでげてしいのに。

 ふとホ○ミの呪文じゅもんとなえてみた。でもダメ。んでしまえば、やっぱり呪文じゅもん使つかえないんだ。

 と、そのとき。おにいちゃんがきゅうがってはしりだした。

 そうだよ。はやげて!

 クマーゴがそれに気付きづいておにいちゃんをはじめた。しまった! ヒグマははしってげるものける習性しゅうせいがあるんだった。

 わたしもそのあとけたかったけれどムリそう。ゆっくりとてんへとのぼっていく。おにいちゃん、なんとか無事ぶじって!


2 すこしでもヒグマをいもうとからとおざけたい


 まえ光景こうけい地獄絵図じごくえずだった。まるで自分じぶん身体からだきざまれるかのようにつらかった。そうえば……。

 いもうと辰子たつこはなしていた『ヒグマはげるものける習性しゅうせいがある』のをおもした。このバケモノをいもうと身体からだからはなすにはこれしかない。おれ全力ぜんりょくはしした。

 それにがついたのだろう。ほどなくヤツがいついてきた。もはやおれにはちがえるチカラすらない。せめてほんの一瞬いっしゅんでも、のこった辰子たつこ身体からだがカタチをとどめておけるようとおざけておこう。

 ヤツの息遣いきづかいがこえる。もはやここまでか。ゆきいもうと身体からだおおかくして、コイツが見失みうしなってくれでもしたらありがたいが、そんな時間じかんすらかせげない。

 辰子たつこにいちゃんも、すぐにくから。ずっとおまえ下僕げぼくでいよう。もうけっしてはなれない。


3 おくれてきた勇者ゆうしゃ。その正体しょうたいは?


 ゆきうえへとたおんだ。仰向あおむけにころがる。辰子たつこは『四年よねん一度いちど(KAC20201)』肉体にくたい復活ふっかつし、そのたびに自分じぶん身体からだわれるさまを観察かんさつしていたという。おれ事切こときれるその瞬間しゅんかんまで見届みとどけてやる。あのでは、辰子たつこと『われるときあるある』のトークにはなかせてやるさ。

 しかし人食ひとくいヒグマのクマーゴは一向いっこうおそってこなかった。かといって方角ほうがくかえすわけでもない。

「すまなかったな優輝ゆうき。だが、もう安心あんしんだぞ」

 背後はいごからこえこえてきた。

 このこえは。だらしなくて威厳いげんもなくて、家族かぞく一番弱いちばんよわ立場たちぱあまんじている……。

 肩越かたごしにいて見上みあげた人物じんぶつかおは、とうさん……。

 そんな親子おやこ対面たいめんにはおかまいなく、クマーゴのそば金属製きんぞくせいのヒグマがあらわれた。ダメージはおおきそうだが、クマーゴのスタン○のメカヒグマだ。いもうと命懸いのちがけでたおしたはずのメカヒグマが復活ふっかつしかけている。なんてことだ!

とうさん、をつけて! あのヒグマは、任意にんいのタイミングでメカヒグマと場所ばしょえることが出来できるんだ」

 そしてその能力のうりょくによっていもうとやぶれさった。メカヒグマをたおしたとおもった瞬間しゅんかんにクマーゴがまえあらわれて――いもうところされた――

「このダメ親父おやじ心配しんぱいをしてくれるのか? ははっ、こりゃ頑張がんばらないとな」

 うちのリビングでオブジェとしていた巨大きょだいハンマーを軽々かるがるとうさんが小走こばりに前方ぜんぽうへとかう、と。

 なにこったのかわからなかった。刹那せつなにカタはついていた。

 おれたち兄妹けいまいがふたりがかりでもてなかったクマーゴを一蹴いっしゅう

 もし、もうすこはやとうさんがてくれてたらいもうとは、辰子たつこなずにんだのに。

とうさん。辰子たつこが……辰子たつこがぁっ……、うわああぁぁん」

 おれ慟哭どうこくした。


4 『魔女まじょ☆ゆきちゃん』

 わたしとおにいちゃんの名前なまえわさって出来でき特別とくべつ名前なまえ あい結晶けっしょう?(れ)


 てんからってくる、しろしろゆき結晶けっしょう❄ そういえばわたし魔女まじょ☆ゆきちゃんだったんだ。

 『ゆきちゃん』の『ゆき』は『ゆうき』の『ゆ』と『き』。

 魔女まじょわたし、『あまじょう たつこ』の『あ【まじょ】う た【つこ】』をって、【まじょつこ】が【まじょっこ】→【魔女まじょ】へとてんじて出来できている。

 つまり、マジカル♡またぎ🐻魔女まじょ☆ゆきちゃんは、ふたりの名前なまえわさったあい結晶けっしょうのような名前なまえだったんだ♡

 ちいさいころからおにいちゃんが大好だいすきで、でもとしかさねるにつれて、素直すなおになれず、ケンカしたり、意地悪いじわるったり、奴隷どれいとして使つかってたこともあったよね? ごめんなさい★ 本当ほんとうはこの気持きもち、もっとちゃんとつたえたかった。

 おにいちゃんに、『大好だいすきだよ』、『あいしてるよ』、『たったひとりの自慢じまんのおにいちゃんだよ』、そうつたえたかった。

 おにいちゃん、もうわたしのことなんかわすれて、いおよめさんつけてしあわせになるんだよ。

 地上ちじょう見下みおろし、くちひらく。

わたしはもう地上ちじょうとどまることも出来できそうにない。だから、くね。さようなら……」

わるいけれどあなたを天国てんごくかせはしないわ。4年よねんぶりに可愛かわいむすめかえってきてくれたのに、えなくなるなんてさみしすぎるもの」

 頭上ずじょうからの突然とつぜんこえおどろく。見上みあげるとそのこえぬしは……。

 まもなくわたしたちは地上ちじょうへと『Uターン(KAC20203)』を開始かいしした。


5 『最高さいこうのおまつり(KAC20202)』にささげられしそれは、奇跡きせき輝石きせき


なおるの? その身体からだ……」

 るも無残むざん元自分もとじぶん身体からだ見下みおろしながらたずねた。

 いまわたし暫定的ざんていてき処置しょちとして、リ○ちゃん人形にんぎょうなかおさまっている。それにしても、『辰子たつこちゃん』だったり、『ゆきちゃん』だったり、『○カちゃん』だったりいそがしいものだ。

結論けつろんからったほういかしら? 覚悟かくご出来できてる?」

 わたし緊張きんちょうんでった。

「もう地上ちじょうにはられないと覚悟かくごしてたんだもん。生身なまみ身体からだがなくて、ずっとリカ○ゃんのなかにいることになるとしてもいはないよ」

 おとうさんとおにいちゃんがかお見合みあわせ同時どうじうなずく。

きびしいことをうつもりはなかったのだけれど覚悟かくご出来できているならうわね? 下手へたかくさないほういでしょ?」

 やっぱりムリなのだろうか。頭部とうぶべられちゃってるし、以前いぜん肉体にくたい同一性どういつせいたせて、再生さいせいするなんて不可能ふかのうなのかもしれない。

「わけないわ。ハ○スのバーモン○カレーのルーを使用しようしてカレーをつくるのより、ずっと簡単かんたんよ🍛」

 それをいたわたしたち3にん(正確せいかくには2人ふたり1体いったい)は安堵あんどのためいきらした。

「……材料ざいりょうさえそろっていれば、のはなしだけれどね」

 途端とたん空気くうき緊迫きんぱくする。

材料ざいりょうそろえるのは困難こんなんなのか?」

 おとうさんが代表だいひょうして質問しつもんする。

「いいえ、最初さいしょ結論けつろんったでしょ? 『わけないわ』と」

かあさん、おどかさないでくれよ」

「うふふ♪ 早速さっそく身体からだ再生さいせいさせるわよ。辰子たつこはリカち○んがおりかもしれないけれど、自分じぶんあるいてもらわないとほか家族かぞくが、死体処理したいしょり苦慮くりょする殺人さつじん共犯者きょうはんしゃ苦労くろういられちゃうわ」

 ははかる冗談じょうだんのつもりでったのだろうが、3にん(正確せいかくには2人ふたり1体いったい)は微妙びみょうこおりついた。

 こんなひとなんだよね★

肉体にくたい欠損部分けっそんぶぶんは、最高さいこうのおまつりにささげられし供物くもつ利用りようして再生さいせいするわ。じつはここにってきてあるの」

「さっすが、おかあさん! かりがない」

 おかあさんが背中せなかのリュックから、それらをした。

なにこれ?」

てわからない? ヤ○ザキパンの菓子かしパンよ?」

 いやちょっと、意味いみわかんない!

質問しつもんえるよ。このパンを使つかってなにするの?」

ったでしょ? あなたの身体からだ欠損部分けっそんぶぶんつくるのよ?」

 やっぱりか! 『わたし身体からだ半分はんぶんはヤマ○キの菓子かしパンで出来できています』ということになるのか? いやいんだよ? 生物せいぶつ身体からだべたものからつくられる。これたりまえのこと。なんかすっごくめずらしい材料ざいりょうとか、貴重きちょう入手困難にゅうしゅこんなんなモノをってこいってわれるより、簡単かんたん入手にゅうしゅ出来できるモノで再生さいせい出来できるんなら、そっちのほういにまってるもんね〜? でも身体からだが『ヤマザ○の菓子かしパンで簡単かんたん再生さいせい出来できる』って、かる〜くヘコむよ? げしょーん★


6 『拡散する種デスサーティーン(KAC20204)』の始末しまつ


「おかあさん、身体からだえちゃったし温泉おんせんはいってぬくぬくしたいわあ♨ あなたたち、をつけて退治たいじするのよ?」

 おかあさんはマイペースだ。どんなときも。

 刹那せつな

「ひとりで旅館りょかんかうのあぶなくない?」

こえけそうになって、愚問ぐもん気付きづく。おかあさんは死神13デスサーティーンおそろしくてげるわけではない。めんどくさいから、ほか家族かぞくけているだけなのである。食後しょくご皿洗さらあらいであったり、洗濯物せんたくものたたむのであったり。

 グータラ主婦しゅふじゃないよ? パートもって、家事かじもピシッとしてて☆ でも手抜てぬけるところは手抜てぬく。家族かぞくける。おかあさんが、『かえる』としたのは、おとうさんさえついていれば大丈夫だいじょうぶだと判断はんだんしたのである。もし危険きけんがあるのならなにわずついてきてくれるだろう。……とおもんでおこう。真相しんそう不明ふめいである。

 というわけでおかあさんはさき旅館りょかんかえっていった。わたしたちとおな旅館りょかんまっているらしい。まる場所ばしょなんてつたえてなかったのに。

「でもおとうさん、ホントにつよいの〜?」

「あのクマーゴを一蹴いっしゅうだぜ! おまえにもせたかったな〜☆」

 おにいちゃんがをキラキラさせながらう。でもなんかくやしい。

昔話むかしばなし自慢じまんするようなことはしたくないが。様々さまざま世界せかいおもむいて、魔王まおう次々つぎつぎっていたものさ。『りゅう○う』『破壊はかい滅亡めつぼうかみシ○ー』『大魔王だいまおうゾ○マ』『デ○ピサロ『ミル○ラース』……」

「えっ! おとうさんって、異世界転生いせかいてんせいして無双むそうしてたの? すっごーい!」

 ダメパパだとおもってたおとうさんの意外いがい真実しんじつってわたし見直みなおした。尊敬そんけい眼差まなざし✨

 まさかのだい《『どんでんがえし(KAC20205)』ね💕

「それって、ただのゲーマー……🎮」

 おにいちゃんがなにやらつぶやいたけれど、よくこえなかった。


 その無事ぶじ死神13デスサーティーン退治たいじ成功せいこうしたことはうまでもない。

 お風呂ふろでおとうさんとおにいちゃんの背中せなかながしてあげちゃった♡

 13さい身体からだ(半分はんぶんはヤマザキの菓子かしパンで出来できている)だからいよね?


 おしまい

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