大逆転!
水谷一志
第1話 これは何の競技でしょう?
一
『マズいことになったなこれは…。』
少しのインターバル。優勝候補の達也(たつや)は、大逆転の戦略を考える。
二
西暦2×××年。今年は東京で3度目となるオリンピックが開催されている。
そして達也は《とある競技》での金メダル候補となっていた。
達也はそんなプレッシャーをはねのけ、順調に決勝までコマを進める。
そして決勝の相手は…、明らかに格下と思われる相手。
「このまま順当に行けば、中野(なかの)選手に金メダルがもたらされますね…。」
この競技の解説者も、そう力を込める。
そして、決勝が始まった。
三
決勝戦、第一ラウンド。
ここで、予想もつかないことが起きる。
何と、格下と思われていた相手が、予想外の健闘を見せたのだ。
相手の技は、まさしくストレート。それがバチっと決まり、観客たちも息を呑む。
また相手はたたみかけるような攻撃的スタイル。そのスタイルには達也だけでなく、観客も度肝を抜いていた。
そしてこれは…、「フック」と言うのだろうか?今まで己の感覚のみで闘ってきた達也は、この競技の専門用語がいまいち分からない。
しかし、これだけは分かる。
その技、その技術の残像は、達也の脳みそ、心、メンタルに完全に引っかかっている。
四
達也ももちろん、今までの経験を駆使した技で応酬したが、相手の反応はいまいちだ。
『このままでは…、俺は負ける!』
達也はこの時、相手の強さを実感した。
五
「ちなみにこの相手選手ですが、…いい声をしていますね!」
これはマイクパフォーマンスのこと。
この試みは…、オリンピック以外では一般的であったが、もちろんオリンピックでは初の試みだ。
しかし試合内容だけではなく、《声のトーン》も勝敗を左右するということだろう。
六
そしてインターバル。達也の心に「悪魔の囁き」が聞こえてくる。
『なあ達也…。相手につかみかかって、蹴り飛ばしちゃえばいいんじゃねえの…?』
それは明らかな反則行為。そんなことをしても勝ったことにはならない。
『ただ相手は試合、続けられねえよ?相手に金メダルをとられなくて済むんだぜ?』
なるほど…。
って何バカなこと考えてんだ俺!
俺は実力で金メダルをとってやる!絶対に逆転してやる!
…ってかそんな反則行為したらこの競技の趣旨に反するじゃねえか!
もちろんオリンピックの精神にもな!
俺はフェアプレーの精神で相手と闘う!
そうだ、ルール内で相手をボコボコにしてやる!
それが《ボクサー》としての俺のプライドだ!
七
そして、第二ラウンド。
達也は今までの固定概念を捨て、即興で闘う。
そして、達也は《トリックプレー》を見せる。
【テーマは…どんでん返し!】
?????
八
「中野選手、大逆転です!」
「いやあ最後の逆転劇、すごかったですね!」
「これで今大会から正式採用された、【詩のボクシング】、初代金メダリストは中野選手となりました!」
PS 僕の《(叙述)トリックプレー》はいかがでしたか?笑
またカクヨムでお会いしましょう! (終)
大逆転! 水谷一志 @baker_km
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