大逆転!

水谷一志

第1話 これは何の競技でしょう?

『マズいことになったなこれは…。』

少しのインターバル。優勝候補の達也(たつや)は、大逆転の戦略を考える。


西暦2×××年。今年は東京で3度目となるオリンピックが開催されている。

そして達也は《とある競技》での金メダル候補となっていた。

達也はそんなプレッシャーをはねのけ、順調に決勝までコマを進める。

そして決勝の相手は…、明らかに格下と思われる相手。

「このまま順当に行けば、中野(なかの)選手に金メダルがもたらされますね…。」

この競技の解説者も、そう力を込める。

そして、決勝が始まった。


決勝戦、第一ラウンド。

ここで、予想もつかないことが起きる。

何と、格下と思われていた相手が、予想外の健闘を見せたのだ。

相手の技は、まさしくストレート。それがバチっと決まり、観客たちも息を呑む。

また相手はたたみかけるような攻撃的スタイル。そのスタイルには達也だけでなく、観客も度肝を抜いていた。

そしてこれは…、「フック」と言うのだろうか?今まで己の感覚のみで闘ってきた達也は、この競技の専門用語がいまいち分からない。

しかし、これだけは分かる。

その技、その技術の残像は、達也の脳みそ、心、メンタルに完全に引っかかっている。


達也ももちろん、今までの経験を駆使した技で応酬したが、相手の反応はいまいちだ。

『このままでは…、俺は負ける!』

達也はこの時、相手の強さを実感した。


「ちなみにこの相手選手ですが、…いい声をしていますね!」

これはマイクパフォーマンスのこと。

この試みは…、オリンピック以外では一般的であったが、もちろんオリンピックでは初の試みだ。

しかし試合内容だけではなく、《声のトーン》も勝敗を左右するということだろう。


そしてインターバル。達也の心に「悪魔の囁き」が聞こえてくる。

『なあ達也…。相手につかみかかって、蹴り飛ばしちゃえばいいんじゃねえの…?』

それは明らかな反則行為。そんなことをしても勝ったことにはならない。

『ただ相手は試合、続けられねえよ?相手に金メダルをとられなくて済むんだぜ?』

なるほど…。

って何バカなこと考えてんだ俺!

俺は実力で金メダルをとってやる!絶対に逆転してやる!

…ってかそんな反則行為したらこの競技の趣旨に反するじゃねえか!

もちろんオリンピックの精神にもな!

俺はフェアプレーの精神で相手と闘う!

そうだ、ルール内で相手をボコボコにしてやる!

それが《ボクサー》としての俺のプライドだ!


そして、第二ラウンド。

達也は今までの固定概念を捨て、即興で闘う。

そして、達也は《トリックプレー》を見せる。


【テーマは…どんでん返し!】


?????


「中野選手、大逆転です!」

「いやあ最後の逆転劇、すごかったですね!」


「これで今大会から正式採用された、【詩のボクシング】、初代金メダリストは中野選手となりました!」


PS 僕の《(叙述)トリックプレー》はいかがでしたか?笑

またカクヨムでお会いしましょう!  (終)


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大逆転! 水谷一志 @baker_km

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