第12話 私もとうとう伝染した(副官ネーナ目線)

なんとかしてあげたいという気持ちはあるのだが......


魔王様と勇者様の結婚から半年が過ぎた


勇者様のパーティの剣聖様、賢者様、聖女様は時々遊びにきた


みんな魔王様への好きの気持ちが溢れている


剣聖様は魔王様を物欲しそうに見てよだれを垂らしているし


賢者様は顔を真っ赤にして鼻血を出している、何を妄想しているのだろうか?


もちろん聖女様は魔王様をジーと見つめるとはあはあして自室に引きこもる


何をコソコソしているかなど邪推してはいけない


もちろんオナニーをしているのは間違い無いのだが


そこは変態の聖女様、私達の想像の斜め上をいくオナニーしているに違いない


なんか、変な音が聞こえる。だから邪推をしてはいけない


「何とかしてあげたい気持ちはあるけど......


普通に考えると10代の女の子が一人の男性に一夫多妻制で嫁ぐなどと


どんなけ爛れた関係になるんだろう


私はそう思っていた。だが、ある日、私はある事に気がついてしまった


「私も魔王様が好き......」


気がついてしまうと魔王様への気持ちがどんどんエスカレートする


私は悩んだ。だが、私は彼女らへの配慮というより、自分の好きという気持ちに負けた


「もう、魔王様は一夫多妻制にしよう......」


私は決意した


「決して私情からではない、みんなの為だ。私も含めて」


そして行動を開始した


ちょうど、3人が遊びに来た時に私は切り出した


「そのー、私も魔王様には爛れた生活ではなく、


一夫一婦制の健全な家庭を築いてもらいたかったのだが


そのうち、誰かが間違いを犯すだろ?」


「「「そんな事しませんよ」」」


みんな困った事を言う。私がそれでは困るのだ


「いや、必ず間違い起こすから」


『特に私が......』


という言葉は飲み込んだ


そしてみんなに提案をした


「勇者様のお父様に許可を頂いたら、魔王法を改正して4人共妻にしてもらおうと思うのだが」


「「「本当に?」」」


「本当だ」


「「「是非お願いします」」」


彼女達は何の屈託もなく、同意する。普通、おかしい様な気もするが......


魔王様と勇者様にも相談すると


「「いいよー」」


簡単に同意してもらえた。本当にいいのかな.....


この二人深く考えてないだろうな


こうして私達6人は王様のところに行った


「人間の王様、ご報告がございます」


「何じゃ?


確かそなた魔王殿の副官ネーナ殿」


「はい、今回魔族の決定をお伝えしに来ました」


「魔族の決定とは?」


「はい、我らの魔王様は人間です。しかし、あの類まれな強さ


我ら魔族にもあの強い魔王様の子種が欲しゅうございます」


もちろん嘘だ


「とういう事は魔族からも妻を娶るという事か?」


「はい、そこで、魔王法を改正して魔王様に限り一夫多妻制としようかと


しかし、正妻である、勇者様のお父様のご了承も頂きたく参上しました」


「アンジェリナはどう思っておるのだ?」


「私はかまいません。エルウィンさんを私一人が独占するなんて罪です」


「わかった。お前がそういうなら、わしは反対せん。まあ、あれだけの人物だからの」


普通反対しないかなー。と思いつつも思い通りに進んで私は安心する


「それでは、まず、ここの4人を妻に加えます」


「あれ、ネーナさん、一人多くない。人数計算間違えてない?」


「そうね、剣聖に賢者、聖女、3人なんじゃ」


「それと私です......」


私は顔から火が出そうな位恥ずかしかった


「いや、魔族にも血筋が欲しいから、決して魔王様に恋した訳じゃないので」


私は顔を真っ赤にして訴えた


「「「「「ふ〜ん」」」」


みんなの『ふ〜ん』がなんかムカつく


「いや、魔族にも魔王様の血筋が欲しいから、仕方なく私がとういう事に」


「「「「「ふ〜ん」」」」


あー、誰も信じてくれない


☆☆☆


こうして私達4人は魔王様の妻になった


帰り道で私は大声で言った


「私、別に魔王様の事愛してなんてないからね」


「「「「「ふ〜ん、ネーナさんツンデレだったんだ」」」」


「ち、違うわよ、馬鹿ー」


もちろん誰も信じてくれかった


☆☆☆


こうして私達の一夫多妻制が始まった


既に勇者様には赤ちゃんが生まれていた


可愛らしかった。みんなでとても大切にした


剣聖様も最近身籠ったらしい


「私も赤ちゃん欲しいなー」


私は愛の結晶が欲しかった


そして、今日は私の順番だ。夜のお勤め


私は自然に頬が緩む


魔王様はとっても優しいのだ。私を大切に扱ってくれる


それに昨日は聖女様の日だった。聖女様の明くる日は魔王様いつも激しくて


つい、期待してしまう。昨日一体どんなプレイをしたんだろう。いや、邪推はやめておこう。2人の愛のある変態プレイを暴いてはいけない


「今日は3回位おねだりしよう」


私は受胎する気満々だった


☆☆☆


あれから2年がたった。魔王城は騒がしい。赤ちゃんがたくさん生まれたからだ


みんな赤ちゃんの世話で大変だ。魔王様も赤ちゃん大好きみたいだ


赤ちゃんの世話を一生懸命してくれる


私は自分の赤ちゃんを胸に抱き、幸せを噛み締めていた


これからも子供増えるな。何しろ、魔王様も私達もやる事何にもないので


昼は赤ちゃんの世話したり、みんなでキャッキャしたりして


夜は順番に燃える様な夜を迎えるのだ。だって暇なんだもん。他に娯楽ないもん


「魔王様って、平和と幸せのウィルスをばらまく体質なのかな」


私はそう思った


☆☆☆


こうして私たちは平和で幸せな生活を送った。そして


「魔王様、勇者様、剣聖様、賢者様、聖女様、安らかにお眠りください」


私はみんなのお墓の前で手を合わせた。あの幸せな日々は私の宝石だった


でも、みんな人間だった。みんな天寿を全うしてしまって、私だけが残された


魔王様の後は最初、勇者様のお子さんが継いだが、やはり天寿を全うされた


今は、私の子が魔王をしている


楽しかった日々、だけど、私はゆっくりしていられない


何せよ、私の子はあの魔王様の血を受け継いでいるのだ


至る所で勘違いと幸せと平和を撒き散らしている


私は、絶えず今の魔王(自分の子)の世話で大変だった


「私は幸せです。魔王様、そして、他のみんなも幸せでした


 ありがとうございます」


こうしてこの世界に1000年にわたる平和がもたされた


「私、魔王様のウィルスに感染したんだろうな」


私は呟いた


「お母さん......」


私の子、現魔王はとても心配そうな顔をしている


魔王様そっくりの顔立ち、目の色、そして褐色の肌と小ぶりの角


私は子に看取られながら、天寿を全うした


☆☆☆


おしまい

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【俺(男魔王)と勇者(女)の関係がおかしい<勇者パーティから捨てられた俺、何故か魔王になって勇者に狙われる存在になったが、何故か勇者に好きって言われた>】 島風 @lafite

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ