ランニング、そして違和感


ピピっピピッ。


「体重...」


朝4時。いつもより1時間早い朝。


こんな朝早く起きなきゃ、ランニングする時誰かにあってしまうと思ったけど。1時間早く起きるだけでめちゃくちゃ体重いな。


中学の時は5時から走って近くの爺さん婆さんと会っていたから4時から走れば誰にも会わないだろう。


(このジャージ着るのも久しぶりだな)


水を飲んで、軽く準備運動をしてからゆっくり走り出す。


ここから15分ぐらい走った所にある公園までとりあえず走ってみることにしたのだが...



「うぇ...きっつ...」


開始5分程でバテてしまった。完璧にペースが早すぎた。


「やっぱり誰もいない時間帯を選んだのは正解だったか...」


こんなバテてる所を見られるのは恥ずかしい...でもこの時間帯に人なんて...


「あ」

「...天道?何してるんだここで」


(白石...!何でお前はこんな早くから走り込んでんだよバカか?!)


「ランニングしてる時に100円が落ちてると思って止まったんだよ。文句あんのか?」


「何でそんなに喧嘩腰なんだ...?まぁいい、天道。一緒に走らないか?」


「へ?」


「こうしてランニング中にあったのは初めてだろう。何かの縁だ」


(やべぇ...休まず毎日走ってるであろう白石と走るなんて死んじまう...何でさっきあんな態度撮ったんだ俺!)


「じゃあここから10分くらいの公園まででいいか?俺あの公園でラジオ体操するんだ」


(頼む頼むお前から断ってくれ!)


「きちんと予定を決めて走っているのか!天道は行き当たりばったりで決めるだらしない奴だと思っていたが...見直したぞ!」


「あはは...ありがとー」


「よしっ!なら僕も同行させてもらう。たまにはラジオ体操するのもいいだろう」


「わーい」


ということで2人で走ることになりました。


                    おわり








「....死ぬ」


俺が10分くらいと思ってた道6分で来ちまった...こいつ飛ばしすぎだろ..


「どうせ久しぶりに走ったんだろうと思っていたが...なかなかやるな」


「は?!...お前...俺が久し...ぶりに...」


「あんまり無理に喋るな...そうだよ。僕は君が久しぶりに走った事を薄々感じていた」


(この野郎...)


「これなら今度の休日も少しは楽しめそうだな」


「あぁ...ボコボコに...してやる...からな...」




「ははっ」

「ふふっ」


自然に笑いが出た。懐かしい...白石とこうして話したのも1年ぶりだろうか


「懐かしいな、白石」

「こんな感じで毎日口喧嘩してはよく姉さんに怒られてたっけ...懐かしいね」


「お前一瞬元の口調に戻ったぞ。その調子でいい加減元に戻せよ」

「はっ...!嫌だね、君が更生するまでこの口調を辞める気は無いよ」


「それ誰の口調真似てんの?」

「漫画で見たサッカー部のキャラクター」

「お前結構意味わかんねぇ所あるよな...」


その後体力が戻ってきたので一緒にラジオ体操をした。


「はぁ...今日学校休もっかな」

「何を甘えた事を...殴るぞ」


「やれるもんならやってみろよ、チビ女..」


すると俺の脛を目掛けて蹴りが飛んできた。


「痛っ!こんの馬鹿チビ...」

「ふん、君よりは頭は良いよ」


「1年最後のテスト、お前何点だったよ」


「僕のテストかい?確か...18位だったかな」


「お前...以外に勉強してるんだな。頭に剣道しかない人間だと思ってたぞ。感心した」


次に顔に蹴りが飛んできた。気づいていても体中が痛くて躱せない


「お前...狙う場所考えろよ...」


「あ、すまない。流石にやりすぎた。これ程度も躱せないとは...確かに限界みたいだな、すまない貧弱男」


「だからそう言ってんだろ...限界だ。俺は帰る」

「あぁ、蹴って悪かったな。お大事に」


とりあえず帰って弁当作って...桜花に渡して寝よう。母さんには頭を下げるしかない...


「天道!」

「あぁ?」


「早く帰らないと、ランニングをしてる人達にもだらしない所見られるぞ!」


「お気遣いありがとう....」


俺は軽く走りながら帰るしかないようだし、桜花に弁当作って貰うための土下座も追加だな。



(そういえばあいつ...こんな朝早くから毎日走ってたんだな。そりゃあ女でも強いわ、はっきり言ってそこら辺の男よりも強かったもんな)


「はぁ..やっと着いた..ただいまー」


「ちょっとあんたどこ行ってたのよ...ってえ?!どうしたのランニング何て...」


「いいんだよ別に...あとすみません。今日の弁当を作っていただけないでしょうか。あと今日学校休ます。」


「弁当は別にいいけど..あんた今走ってきただけでしょ?」

「おう」

「行け」

「チッ」


「あんたいい加減に親に舌打ち辞めなさいよ...まぁともかくシャワー浴びてきて。汗臭い」


「はいはい、じゃあ後よろしく...」


そのまま風呂場に向かったわけだが、何故か凄く体が重い。そんなに疲れた訳でもないだろう...


すぐにシャワーを浴びて外に出た。少し頭が痛い気がする...


「そろそろ桜花ちゃんのとこ行かないとダメなんじゃない?」


「...もうそんな時間か。行ってくる」


ふらつきながら桜花の家につき、鍵を開けて。家に入る。


桜花は一階の畳の部屋で寝てるから....なんか今日は遠く感じるな...


「おい、桜花。朝...」


急に頭に激痛がはしり、足元が崩れて桜花の上に乗ってしまう。


「うぐっ...重い。翔...どいて」


(あ..体動かねぇ)


「翔...?」


(重いだろうに...すまねぇ。桜花)


そして俺は痛みに耐えられず、そのまま意識を手放した。













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人形みたいな彼女には...俺はきっと不釣り合い。 華宵 @sanagiba

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