エピローグ
この日をどれだけ待ったことだろうか。
俺の目の前には、最高の花嫁がいる。
「桜子、きれいだよ」
俺が優しく声をかけると、彼女は涙をこぼす。
「おいおい、泣くなよ」
「だって……まだ、連載は終わらないって言ったのに」
「えっ?」
「この作品はまだ続けるって言ってたのに~!」
式場にいた身内が目を丸くする。
「落ち着け、桜子」
「だって~……」
「やっぱり、もう潮時だったんだよ。作者も、それを理解したんだ」
「ぐすん……あの作者、ぶっころ」
「その言葉は、むしろご褒美だぞ」
俺は言う。
「でもさ、俺は嬉しいよ。お前とこうして、結婚が出来て。無事、タイトル回収も済んだ訳だ」
「バ、バカ~。もうメタは禁止なの~!」
すると、
「ニャッハハハハ! とうとう、こーニャンもさくらニャンに完全に捕まってしまったのニャン!」
俺と桜子の親友である彼女が言う。
「ちょっと、萌葱。それはどういうこと?」
「だって、さくらニャンは美人で爆乳だけど、いかんせん、性格がヤバいからニャ~」
「ねえ、光一。ちょっとあのクソ猫を黙らせてきても良いかしら」
「落ち着け、桜子」
「いえ、落ち着かないわ」
「言うことを聞け、桜子」
俺はぐい、と彼女を振り向かせる。
そして、キスをした。
周りが歓声を上げる中、俺と桜子はどこまでも深くキスをする。
「……こ、光一さま」
「それ、久しぶりに聞いたな。可愛いぞ、桜子」
「ズキュン」
「あ、知っているか? お前のその『ズキュン』って、最初はピストルに心臓を撃ち抜かれた効果音ってことで『ドキュン』だったんだけど、それだとヤンキーを想像しちゃうから……」
「だから、もうメタ禁止! 最後なのよ!」
「ごめん、ごめん」
「ニャッハッハ! 楽しそうなのニャ~!」
「ふん」
桜子は鼻を鳴らす。
「あー、早く桜子と初夜りてぇ~」
「ちょっ、光一? 何かもう、フリーダムすぎよ? 周りに家族がいるのに……」
「大丈夫だよ。理解のある親たちだから」
「あなた、やっぱり末恐ろしいわね」
「桜子」
俺が改めて呼ぶと、桜子は真面目な顔になる。
「愛している、俺と結婚してくれ」
真っ直ぐな気持ちを伝えた。
「はい、あなた」
そして、俺の嫁になった彼女は、最高の笑顔で頷いてくれた。
「あ、そうだ。後日談で、お前を妊娠させる話が欲しいな~」
「ちょっ、光一……その言葉だけで、妊娠しちゃう♡」
「このバカ夫婦ニャーン!」
『となりの席の女が俺にだけ毒舌なので理由を聞いたら『将来、あなたと結婚したいから』と言われて学園生活が一気に楽しくなった』
(完)
となりの席の女が俺にだけ毒舌なので理由を聞いたら『将来、あなたと結婚したいから』と言われて学園生活が一気に楽しくなった 三葉 空 @mitsuba_sora
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