エッセイ集

青い星

第1話 分類される

 偏差値というものがある。

 偏差値は点数ではない。5科目400点取る、とする。しかし、偏差値はそのつど変わる。要は、自分が全体数のどのあたりに属しているかを知る指標のようなものだ。

 偏差値70というのは、受験者のうちのほんの数%に当たる。30もしかり。ほとんどの人は40~60の偏差値にいる。いわゆる普通の人々だ。60あれば、普通の中の頭がいい人。40台は普通の中の成績が良くない部類に入る。

 しかし、これは知能を図るものではない。したがって、30台の人は、頑張って60台になることは、努力の範疇でできる。

 偏差値70の高校は、すなわち数パーセントのトップの人々が集まった学校ということだ。しかし、その中でも必ず優劣が生まれる。

 更に言うなら、高校の偏差値と大学の偏差値は違う。

 高校はほぼ進学率は100%で、ほとんどの子供が高校受験をする。しかし、大学はおよそ5割と言われている。高校生の五割の進学者の中の位置を示しているのである。

 しかしながら、料理がうまいとか、ずる賢いとか、コミュニケーション能力に優れている、などは偏差値では表せない。人間の能力は偏差値では示せないものが多い。

 東大を出た人が芸人になったりするのは、当たり前の事なのだ。自分が評価されてきた土俵以外で生きることにしただけなのだ。

 我々は、評価の土俵が一つでないことをもっと意識すべきである。

 世間的に評価されている人が全くの生活不能者であったり、ということはよくあることだ。

 生活する能力の偏差値は存在しない。

 偏差値は、学校というシステムの測ることができる学習項目の出来不出来だけを測る道具なのである。

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