三扉目 クイズ番組。

「アハハハハッ!こいつら、ほんっとバカだね~」


 一昔に流行ったクイズ番組が、再放送でやっていた。

 懐かしいなと思いながら、俺はその番組を茶化しながら見ていた 。


 おバカタレントっていうのが流行ってた時期。ただ単に、自分のおバカを公然の場に晒して……恥ずかしくないのかな。まぁ何も考えずに見れるし、笑えるから良いけどね。


 最近はこの再放送を茶化しながら見るのが楽しみだった。


「うは~だっせ~コイツ!!こんなんで間違ったら、俺だったら恥ずかくて死ぬね!!」


 などと、問題を間違えた奴を、指を差しながら楽しんでいた。


 しばらくそういうやり取りが続いていた。



「や~べっ間違えちった。俺死ぬ、死ぬ!」


「チ~ン。はい、死亡。ギャハハハ」


 間違えた自分に突っ込み、一人でふざけていた。



 ピンポーン


 インターホンが鳴った。


「はいは~い」


 ガチャッ


 何も警戒せずに、玄関のドアを開けてしまった。


「間違ったね!!」


 と、いきなり誰かが近づき、耳元で囁いた。


「うわっ!!誰だ!!」


 驚いて後退り、そいつの顔を覗いた。


「え!?」


 何とそこには、今まさに再放送でやっている、クイズ番組のおバカタレントが居た。


 ニヤリッ!!


 そいつは無邪気に笑みを浮かべた。


 俺は呆然と立ち尽くした。


 そいつは何故か、手に鉈を握っていた。


 俺は動けなかった。怖くて……。逃げなきゃいけないのは分かるけど、体が動いてはくれなかった。その鉈をどうする気だ? まさかっ!!


 そしてそいつは、手に持っている鉈を大きく振りかぶった……。


 おい、うそだろ!!



 ドサッ!!


 ……床に倒れた時、テレビが視界に入った。


 テレビの中のタレント達が、俺を指差し大爆笑していた……。



 ――――――――――――――――――――

 聡、美里サイド


「今度は何処だ? また男の部屋かよ」


「何か楽しそうにテレビを見てるわね。あ~これ、私も見てた。懐かしわね」


「俺も見てたわ。くだらなかったけど、好きなタレントが出てたんだよね。可愛いのに、そのバカらしい発言をニヤニヤしながら見てたよ」


「ほんと、楽しそうに見てるよね。1人ツッコミしてるし。ストレスでも溜まってんのかな?」


「確かにストレスとか溜まってる時、こういうの見て、バカ笑いすれば、少しでもストレス発散になよな。逆にイライラする時もあるけど」


「それにしても、この手のタレントの何人かは、ブームが過ぎると、いつの間にかに、『あの人は今』状態よね。」


「おっ誰か来ぞ。あっ覗き穴も見ずにドア開けたぞ。何て不用心な」


「えっ?ちょっと嘘でしょ!!何でこの人がここに居るのよ。てか、手に持ってるもの……」


「あいつやべーぞ。おい、にいちゃん、逃げろ!!クソッ声が聞こえないか。おいおい、固まってんじゃんか」


「キャッ!!……」


「なっ。何だコイツ……。いきなり切りつけやがった。お、おい、美里。テレビ見て見ろ」


「ウソでしょ? 何で皆、彼を指差して笑ってんの?」


「まだ生きてるぞ。ちくしょう、どうする事も出来ないのかよ」


「聡、ドアが現れたわ……」


「ちょっと待て、コイツこっち見てるぞ? 笑いながら近づいてくる。見えてるのか? 俺等のこと……」


「聡、いいから早く行くわよ。何かヤバい気がする」


「美里っ!早くドア開けろ!!多分コイツ見えてる」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

奇妙で不思議な扉 にゃん汰 @nyanta44

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ