頑張り屋で、どこか不器用な二人のアオハルが始まる

家庭の都合で、東京の私立中学から田舎の公立へと通うことになった美波。
慣れない環境、始めて出会う人達の中で、彼女は奮闘することになるのですが……

この主人公の美波ですが、読んでいて感じた大きな特徴が二つありました。
一つは、集団の中での自分の立ち位置、そしてそれを維持するためにはどうすればいいか、物凄く考えているということです。
そんなことをいちいち考えて動くのは、ある意味とても窮屈なこと。ですがその一方で、誰しも大なり小なり、似たような考えをしたことがあるのではないかと思います。

もう一つの特徴は、ガリ勉だということ。しかもただ勉強するだけでなく、その方が効率がいいと判断すれば、時には授業中居眠りをするなどの大胆さまで持っています。
本来読書の共感を得るべき主人公としては、それでいいのかと思うくらいに強か。しかしその一方で、そんなに頑張って大丈夫? 無理しすぎてないのと思いたくなるような、一面も持ち合わせています。

そしてそんな美波と共に、本作を引っ張る人物がもう一人。クラスメイトの浜辺です。
イケメン、成績優秀、そして音楽関係では類い希なる才能を持つという天才ボーイ。そんな彼と、成績上位を争うライバルになっていくのですが、合唱コンクールを機に二人の関係は更なる変化を、そして美波の更なる一面を見ることになっていきます。

ガリ勉少女と、一見天才で、だけどどこか完璧でない少年の、少し変わった青春ライフ。

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