今を全力で生きる、無器用な二人の爽やか青春物語

家庭の都合で、突如田舎の中学校に転校する事になった女の子、美波。慣れない環境でどう過ごしていくか考えていた美波ですが、そんな彼女の前に現れたのは、学校屈指の秀才、浜辺でした。

時に成績の首位を争うライバル関係、時に合唱コンクールの半奏者と指揮者という、学校でも何かと目立つ二人。
勉強ができる上に、半奏者や指揮者にもなるだなんて、ハイスペックですねえ。だけど彼女達は最近流行りの、チートキャラではありません。才能が有ってもいい結果を出すためには、努力や周りの人の協力が必要不可欠。それができなければ無理が募って、壊れてしまいますもの。

美波も浜辺も決して、何でも出来る天才なんかじゃありません。本当は無器用な所があるけど、頑張って支え合って、今という時間を全力で駆け抜けている、そんな気がしました。
勉強にも音楽にも、決して手は抜かない。やると決めた事は全力で取り組む。だけど間違ったり、つい無理をしてしまう事もあって、そんな時は叱られて支え合いながら、答を模索していく。完璧じゃなくても必死になってもがくところが、二人の魅力のように思えました。

頭が良くても才能が有っても、上手くいかないことだらけ。だけど、だからこそ世の中は面白いのです。
一瞬一瞬を懸命に生きる二人の青春ストーリー。読み終えた後には、爽やかな読後感がありました。

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