第8話『雑魚どものイキり』




(1点差か・・・)






強豪高校、リベロは深呼吸する。


内心動揺しているが、流石に頭は冷えた・・・




確かに、あのピンサーの『遅いサーブ』は厄介だ。





だが、上げた。




つまり、もう見切ったってことだ・・・




さっきは偶然、得点されちまったが、・・・ウチの連中に、まぐれは2回も続かねぇ




次、上げれば・・・確実にとどめを刺せる。





もう一度、深く、深く呼吸する。





『何本でも打たせたらぁ!次の試合もその次の試合も!』





さっきの相手高校の叫びが頭の中をよぎる。



いらっ・・・




頭の中に燃えるような怒りが込み上げてくる。







雑魚どもが!イキってんじゃねーよ!!







てめぇら低級高校に『次』はねぇんだよ!!!!






相手サーバーが助走に入る。


(さぁ来い、トドメを刺してやる!)







でゅおおん!









一閃、自分の真横に何かが通り過ぎる






・・


・・・


・・・・・






は?






笛の音、点数表示が変わる。

(今の・・・サーブ・・・点取られたのか?)




「はえぇ!!!」


「速い!!」


「豪速球!!」




六畳のサービスエースに、脆弱高校部長は思い出す。



そういえば、六畳は放課後・・・

いつもあれくらいのサーブ撃ってたな・・・



あいつ・・・


ミスを恐れてさっきまで、『ワザと力を抑えてた』ってことか・・・はは





その後、脆弱高校は勝利する。


10点差を覆した脆弱高校バレー部の名前は、

その後の怒涛の勝ち上がりによって、全国に広まることになる。






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冥域のピンチサーバー ~10点差、敗けだな、ベンチで暇そうにしてるあいつ出しとけ~ @haidoroponnpu

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