おまけ 音声データ『親愛なる幼馴染へ』

『えーと、何から話せばいいかな。こういうの苦手なんだよな……


『まず、ごめん。お前からしたらもう何日も俺に会えてなくて心配かけたと思う。お前はまた明日って言葉に厳しいからな。だから、ごめん


『でも心配はしなくていい。俺は大丈夫だから。……いや大丈夫ではないのかな。でも心配はいらないよ。俺は軽く旅に出てます。大丈夫、


『高校でお前に話しかけられた時、正直嬉しかったよ。二人でこういう話する機会はあまりなかったけどさ、お前が俺のこと見つけてくれて嬉しかった


『俺はお前のこと知ってたけど、病気の時にお前の兄貴と見舞いにまで行っていたけれど、お前は覚えてないだろうと思ってたから。だから急に小屋に来て「あんた私の幼馴染?」って聞かれた時はビビったよ


『それから毎日小屋に遊びに来たよな。学校の有無に関係なく。台風の日だって。お前が風邪ひいて看病したのも懐かしいなぁ


『お前俺のこと好きだっただろ。俺はこれでも鋭いタイプだからな。……でも鈍感主人公みたいにしててごめんな。辛かっただろ。俺も心苦しかったよ


『でもな、お前の気持ちに答えるわけには行かなかったんだ。……俺なんかが答えちゃいけなかったんだ。お前にはきっといい人が見つかる。俺が保証する。だから安心してくれ


『それはともかく。お前の誕生日の日に行ったお墓、実は俺が作ったんだ。不器用なのに頑張ったと思わないか?俺とお前の兄貴の名前掘るの大変だったんだぞ〜


『そこでお願いがあるんだ。あの墓に、俺の名前を彫ってくれないか。急に何頼んでるんだって思うかもしれないけれど、このパソコンの中身を見ればわかると思う。だから頼む。俺の一生最後のお願いだ


『俺がいくつお前の一生のお願いを叶えてやったと思ってるんだ。一つくらいいいだろ?頼まれてくれ。……あ、あと間違っても俺の家族とかに会いに行くなよ。俺ほとんど一人暮らしだから、行くなら小屋にしてくれ。あそこにあるものはお前に譲るよ。お前の兄貴の形見もある。好きに持っていってくれ


『……あぁ、もうダメだ。もう時間がない。


『最後に、ひとつだけ。このパソコンには真実が記録されているけれど、どうするかはお前次第だ。研究を引き継いでもいいし、これをこのまま放置してもいい。医療機関に提供したっていい。俺や俺たちの兄の意思は特にないからな。お前が生き延びた時点で大体終わってる


『それじゃあ、記録を終わります































『ずっと前から好きでした。お元気で』

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ハッピーエンドの黒幕 星宮コウキ @Asemu

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