AL KANA–アルカナ–

アリエッティ

第1話 聖杯と騎士う

 城というものは力を誇示する最大のアピールだ。強弱に関わらず主張があれば威張る要因になる。

 大きな家なら、当然護衛も存在する

 城を守る兵士通称『アルカナ』

 日々鎧に武器にと身に纏い、気苦労を抱え我儘な王には手を焼いている。


「そりゃ!

 うっし、いっちょ上がり!」

 城のある国を少し離れた森にて剣を振り回す、こんな仕事が増えている。

 最近は周囲の様子が少し変だ。

「ワラワラ出てくるけどこれなんなの

 動物には見えないけど。」

「ジョーカー..ダイダルさんはそう言ってた。」

 要因はわからないが国や他所の街の住人が変貌を遂げ、影を纏った道化師のような姿に変わるという。

 これをジョーカーと呼び、変化する要因の事を〝逆位置〟と呼ぶらしい。


「アイツらの仕業かな?」

「いや、違うと思う。こんなものを世に放ったら自分たちだって損するよ」

「よっくわかんねぇけど邪魔な連中だよな〜。

..それよりカミズナ何処いった?」

「また何処かでサボってるんでしょ、放っといた方がいいよ。それこそ絶対ソンするから」

「それもそうだな。

 オレらもさっさと帰ろうぜぇ..。」

 得体の知れない者を倒しては帰還する

 護衛より退屈は無いが戦っている感覚は無い。空虚に剣を振るっている。


 護衛隊 聖杯(カップ)基地

 城内にある基地にて兵士は集められ、会議や命令の伝達を行う。その際筆頭にて仕切るのは、カップのキング

「僕がダイダルだ」

「知ってるよ。」「毎回名乗るの?」

 教卓のような大きな台の上で、カップのキング、ダイダルが叫ぶ。

「此度のジョーカー出現に対してわかった事がある。どうやら剣(ソード)軍達による人体実験では無さそうだ」


「やっぱりそうなのか。」

「しかし剣軍もしくはそれ以外の何者かが、それになり得る要因を吹聴・付与している可能性は充分にある。」

 風の噂というように、風を吹かしている何者かがいるという事だ。

「誰なんだそれは?」

「いま棒(ワンド)に見て貰ってる」

 兵士とは別の部隊ワンドは預言者の役割も担い指令の根幹、未来の事実を教えてくれる。

「そんな事今更見たとこで何か発展があるのかね、変わらんと思うけど?」


「カミズナ!

 いつの間に帰ってたのよ!」

「お前らより先に着いてたよオレは、そもそも外に行ってねぇし。」

 厄介事が起きるとわかる場所に行く意味がまるで無い。器用な頭の遣い方に聞こえるが単にサボりたいだけだ。

「そこで指令を出す、ワンドの予測を聞いた後、先程と引き続きカップのA、2、3、4は調査へ向かってくれ」

「はいよ。」「また?」

「めんどくせ..」「....。」

「ワンドの処にはキュゾック、ベギルマで向かってくれ。」


「了解。」

「話を聞いてくればいいんだな?」

 腕に鉄板を巻いた男と大きな巨漢が返事をしてワンドの基地へ向かう。彼等が話を聞いて来るまで調査隊は待機となる。

「まぁた退屈な時間だぜ」

「何してれば楽しいのよアンタ?」

「ダイダルさんいつ名前で呼んでくれるんだ、キール(A)エミル(2)バズー(3)ってな」

「さぁ..。」

 人が多いと同じ顔に見えるらしい故名前があるのだが、呼ばないとなると把握しているのだろうか?


 情報隊 棒(ワンド)基地

 兵士は基本的に鎧を纏い戦闘態勢を整えるがワンドは皆ローブのようなゆったりとした服を着て寛いでいる。リラックスしていた方が良いイメージが浮かぶんだそうだ。

「コイツら、やる気あるのか?」

「これが普通らしい、信じられねぇけどな。預言者の言う事だ」

 彼等にとって寝そべるのは礼儀であり秩序、邪魔をすれば非常識だ。


「何ようだ?

 わかっているぞ、ジョーカーだろ」

 ワンドのA エイズルが二人に気付き、用件を悟る。

「応えてくれて感謝する。

 で、肝心の情報は?」

「そう急かすな、ジョーカーだろ。

 奴らは元々人間だ。悪い要因により成り果てた姿。」

「逆位置か、それは何だ?」

「原因は様々だが大概は不の感覚、悲しみに打ちひしがれ変貌する。」

 拠り所を失った心が冷え切り黒く染まると変化が始まる。原因は死とは限らない、決別や絶望、様々だ。

「そんな事はどうでもいい、何処にいるかを知りたいんだ。生まれる場所も同じくな。」


「生まれる場所か..」

「アイツは無事なのか?」

「おっと。

 お前は気になるんだったな」

 キュゾックは長い間知り合いを追っている。メカニック担当ゆえに外へは余り出る事が出来ず情報が足りない。

「根源とまでは言えないが、黒いエネルギーが溜まり込んだ場所がある」

 掴んだ情報は更にやり取りされ、調査隊に託される。


「て、いう訳だ頼むぞ。」

「ちょっと待てって!

 結局俺たち何処に行くんだよ?」

「ダイロクの森だ、そこに汚れが溜まりに溜まっているらしい。」

「ジョーカーの塊か?」

「わからないが、少なくとも原因ではあるようだ。」

「そんな処に向かうのね、これはサボっていられないわよ」

「遠回しに言うなよ面倒臭い。」

「これを持っていけ」

 人数の小さな機械を掌に乗せ見せる

「何コレ?」

「発信器みたいなものだ、片耳にはめておけば直ぐに連絡が取れる。

 試作品だが、これから全隊員に配る予定の新ウェポンだ」

ジョーカー侵攻により城外での活動が増加する事を考慮し急遽作った新機能

 表面のダイヤルを回せば聴取量を調節出来る優れもの。

「準備が出来たら出発しよう、各自武器を持って城の前で集合だ」

 いざ、ジョーカーの巣へ。


いきませんでした、終わりです。

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