ちょっと無理矢理ごじつだん
だめ、だめなの。
使い魔と魔女のキスは非常に重い意味があるの。
心が一つになり、精神が融合し、生死を完全に共にする。
だめ、だめなの。
「なあ、リーナ俺立派になった――」
だめなのに、してしまった。
もう、彼なしでは生きられなどは出来なかったんだ。
遅かれ早かれこうしていたんだ。
――――
壁をドン
「なあ、俺じゃダメかな」
「だーめだえ、もっと大人になってきてから来なさい」
壁をドンッ
「なあおれも17になったよ。いい感じの身体になってきていると思うんだけど」
私は腹パンチ
「いでぇ!」
「まー、これが通用しなくなるまでは私にせがむなんてまあだまだ甘いわよ」
でも、もう無理かもしれないって思ってた。
だって……もう……
壁をドンッ!!
「これでどうだ。頭も体も魔女に見合うようにしたぞ。これでど――」
「あ、あのねえ。魔女との口付けがどれだけの者か、知っていてこうも誘っているんでしょう?ほん……ほん……本気なの?」
「ああ、勿論。精神が一つになり、感覚が共有され、生死が一緒になるんだろ、いいじゃないか、今のリーナにはぴったりだよ」
「ぴったりって、ねえ……私はもういいんだよ」
そう、不治の病が発現してね、日に日に衰えていくばっかりだったのさ。
でも、でも、それとかは関係なしに……
愛を確かめたい。確かめたい、愛を。
くそっくそっくそ!! そんなんじゃダメなんだ。助手にはこの病引き継がせるには……
壁をドンッ
「なあ、もういいだろ。一緒になってくれ」
「あのコマナイキなエリックソンが良く言うようになったね。でもだめだよ……移すわけには……」
「リーナ、お前が嫌でも、もうな」
エリックソンは私を強制的に顎を立たせると
ゆっくりと滑らかなキスをしてきた
「ふう、すぐには感覚は変わらないのかな? まあ、つまりもう俺の主導権にあるくらい、弱っていたんだよ、お師匠様……」
「本当に、本当に、いいのかい? 魔女から求めないと効果は発現しないんだよ」
正直なところは
愛を確かめたい愛を確かめたい愛を確かめたい愛を確かめたい、確かめたい、愛を。
キス、したいんだ……
「ああ、覚悟は出来てるぜ。俺のすべてであるお師匠様……そのすべてが愛おしい。さあ、そちらからキスを」
「……わかった。キスを、しよう。じゃ、じゃあ、顔を近づけて。うん、そんな感じ、じゃあ私から行くから、そっと補助して……もうそんな力、残ってないんだよ……」
介護された状態でのキスは飛び切り甘くて、飛び切り酸っぱくて……飛び切り美味しかった。
「あぐあ。あがががががぐあがうあぐあが……!!」
「ああああああああああああ」
二人とも三十分は悶えていたと思う。悶え終わった時には今まで通り動ける私と、少しだけ動きが鈍くなったエリックソンがそこにいた。
「俺だって勉強したんだ、一人じゃ直せない病でも、二人で分担して対応すれば治るかもしれないってな」
「エリックソン」
バチン
「エリックソン、自分の命は大事にしな」
「ふふ、俺はこれが一番大事だったんだよ、今の優先順位の中で一位だったんだ。リーナのいない世界なんて数秒で興味を失ってしまうからな」
「ばかだねー」
「ああ、ばかかもしれないな」
「でも、でも……」
「ありがとう、愛してるよ」
近代魔女もなかなか大変。 きつねのなにか @nekononanika
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