第2話 「そういうことですよね」

ズリと2回ほど飲みに行くことができ、3月末にふたりで飲むことになった。

ナツキは、結婚以来、初めて恋心を抱いたことに気づいた。

だが、自分はもちろん、相手も既婚者、まして同僚である。

食事の先、それを誘いたいが、踏み外せば今後の仕事に差し支えるかもしれない。

ズリが不快に思い、セクハラとして上司に相談されてしまうかもしれない。

そんなことが頭をめぐり、踏み出せないときに、まさかのズリが。

「ナツキさん。ふたりで飲みに誘うってことは、そういうことですよね?」

え?そんな、おれからじゃなくて、ズリから?

急展開すぎてナツキは不意打ちを隠せなかったが、「添え善食わぬは男の恥」と思い、

「じゃ、じゃあ、行く?」

と、タクシーに乗り込んだ。

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 背中を刺しても愛したい ナツキミキ @natsukimiki

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