第6話 ギルドに行こう! 勝手にすれば?
「はぁ。はぁ。はぁ。危うく男として死ぬところだったよ……」
「あはは。それは災難だったねぇ。カズヤ」
いやいや。お前のせいだぞ? リス……
お前のせいで俺は酷い目にあった。
ごっつい性別は男のやつに裸にさせられ、赤子のように扱われた。
貞操だけはなんとか守れたものの、プライドだと威厳とかは完全になくなってしまった。
異世界へ来てこれはなかなか辛い。
まぁ、不本意ながらもリスのおかげで当分の金は賄えることになったから良いものとしよう。
なかなかリスも俺の役に立ってくれるようで、俺のパーティには入るための基準には満たしてくれたと言えよう。
なんたって語学スキルに商売の才能だってあるんだ。
俺はリスの働きに免じて今回ばかりは許してあげることにする。
よし、こうなったら最初にやるのはギルドへの登録だよな!
ギルドに登録すれば身元の保証に、魔物討伐の依頼や採集の依頼が斡旋されることになる。
異世界で生きていくにはやはり最初はギルドの登録だよね。
そして、異世界ファンタジーとはギルドに入ってそこで最短で最高ランクへと上り詰めていくみたいなそんなものだろ?
面倒ごとに巻き込まれらのは嫌だが、ロマンを味わいたいという欲求には俺も負けてしまって。
さっそく行くことにしようじゃないか。
「リス! 異世界といえば冒険者ギルドだ。だから、次は冒険者ギルドに行って、ギルド登録するぞ!」
「…………」
聞こえていないのか? このリスは……
「リス! もう一度言うぞ!? 異世界に来たらまず冒険者ギルドだ。だから、今から冒険者ギルドに行くぞ!?」
「何回も言わなくたってわかってるわよ、カズヤ」
「じゃあ!」
「いやいや、そんなの嫌だよ! 行きたいなら勝手にして!」
えっ!? なんて言った? こいつ……
冒険者ギルドに行くのが嫌?
異世界に来たのにもかかわらず!?
こいつは嫌と言ったのか?
なんだこいつは何にもわかっていないじゃないかよぉ!
これは一つ説教をしておかないと、
「あのなぁ……まず、異世界へと転移したら冒険者ギルドに行く! これがお決まりなんだよ! 定石なんだよ! 定番なんだよ!」
「ふぅぅーん、で!?」
「だからぁあ——————」
と、俺はリスに異世界論を語ろうとして説教するつもりでいたのだが、数十分後には俺が正座をさせられ、リスに説教される形となった。
「お決まり!? 定石!? 定番!? その全ては創作の世界の話よね!? ここは現実なのよ!? いい加減そういう空想めいた考えはやめたら? そうしているうちに死ぬわよ!? それに誰がお金を稼いだと思ってるの? 結果が全てよ! 反論があるなら結果を出してからにして! それと、冒険者ギルドに行きたいっていうのなら勝手にして!」
言っていることは至極真っ当に正論であって反論の余地が一切ない。
異世界に来てまで、とても現実的な考えの幼馴染。
なんだよ……この異世界ファンタジーは……
こんな僕にも脚光を! 月風レイ @tsukikaze0
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