湘南爆走族

 近所の古本屋でヤンキー漫画を片っ端から立ち読みしていた僕は、この作品を読んですぐに好きになった。


 ついこないだまで小学生だったのに、ついこないだまで真面目もワルも目立たないのもイケてるのも関係なくみんなで楽しく遊んでたのに、どうしてみんな友達にランクをつけるんだろう? どうしてつるむ友達をファッション感覚で決めていくのだろう?


 そんな稚拙な疑問で脳内があふれかえっていた当時の僕には、


「どう思われるかじゃない、自分がどう思うかだ!」


 みたいなノリの世界観はグググっと胸に突き刺さった。


 ただひたすらに仲間とのロマンチックな時間を追い求めて、時には誰かを傷つけ、時には仲間同士でぶつかり合い、それでも最高をただひたすらに求めていく不器用な若者たちの世界に僕は夢中になった。


 僕もそういうのをマネしようと思った。


 彼らよりも更に不器用な形でそれを模倣しようとした結果非常に痛々しいことにはなったけれど、そうやって頑張った時間は今でも宝物。


 ありがとう、湘南爆走族。

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