後日譚


・金剛石の皇帝 ロズリック


 戦いが終わった後、故郷であるガドア連峰に帰った。

崩壊した帝国の再建に尽力し、長年の仇敵であったエルフラント神聖国やガルグル家と協力しあい、ガドアの隆盛期を築きあげた名君として後年名を残した。



・調和の女王 レン


 エルス=バウに逃れた民と共に深緑の樹海へと帰還する。

焼け落ちた都を捨て、新たな都を築くことを決意。

共和制アルヴィリアの協力もあり、美しく開かれた都が完成した。

晩年は子に王位を譲り、僅かな護衛と共に旅に出たという



・樹海の守人 ガイ


 度重なる戦いで弱体化したエルフラント軍の立て直しに奔走した。

厳しくも面倒見が良い彼は多くの兵に慕われ、軍の指導者となる。

後に女王の右腕となり、その姿は名将ジル・ジ・ジレに比肩すると称賛された。



・竜狩りの大弓 エル


 戦の後、アルヴィリアには残らずエルフラントに帰参する。

女王の良き相談役となり、幾度も彼女を助けた。

その後、アルヴィリアとの架け橋になり、両国の交流に多大な貢献をした。

彼女の酒豪っぷりは有名であり、各地で伝説を残したという。


・竜狩りの大鎌 エリ


 エルフラント帰還後も女王の従者兼護衛として仕え続ける。

外の世界に対する偏見も薄まり、特に料理に興味を持つ。

彼女がもたらした食文化はエルフラントに革命を起こし、大人気になった。

後年、女王に付き従い、共に旅に出たという。



・火竜王 レウセビオス


 他の竜王たちの推薦により若くして竜王筆頭となる。

霊峰に帰還後は竜族をまとめ上げ、少しづつだが人間やドワーフとの関係を改善して行く。

その姿はかつての火竜王バシレオスを彷彿とさせたという。

一説によるとリーシェ・シェードランに告白し、盛大に玉砕したらしい。



・風竜王 フルーヴィル


 暫くの間、若き火竜王の補佐をすると後継者を見つけ、引退した。

聡明な風竜王の知識は多くの同胞たちの助けとなり、引退後も彼の元には世界中からドラゴン族や多種族の賢人たちが訪れたという。

引退から更に数年後、聖都で受けた傷がもとで逝去する。

彼の死を多くの者が悲しんだという。



・土竜王 グム・ガルガ


 戦いの後、すみかとしている自由都市領に帰ろうとする。

しかし持ち前の方向音痴を遺憾なく発揮し、東エスニアに移動してしまった。

その後、潜行しながら移動する土竜王の姿を多くの人々が目撃し、『動く山』の伝説として語り継がれることになった。



・水竜王 ミヤビ


 連合軍が解散されるのを見届けるとミカヅチに帰国。

以降は大陸との架け橋となった。

しかし数年後に御三家の政争を原因とした内乱が勃発。

水竜王はその最中に行方不明となった。

姿を消す直前に『麒麟児が現れ、ミカヅチに泰平をもたらす』と預言し、彼女の預言通り、ある青年が内乱を制するのであった。



・流刑人の長 サイゾウ


 戦後、共和制アルヴィリアに雇われ諜報活動に勤しむ。

ミカヅチで内乱が勃発すると忍び衆を率いて倒幕軍に加わる。

激しい戦いの末に勝利し、宿願であるミカヅチへの帰還を果たすのであった。

晩年、彼は次世代に一族を託し隠居。

ミカヅチの山の中でひっそりと息を引き取ったという。



・天狗翁 コタロウ


 サイゾウの右腕として生涯支え続けた。

彼は己の豊富な知識を後世に残すため多数の秘伝書を作成し、若い世代に託した。

ミカヅチの内乱にも参戦し、諜報や破壊工作で活躍する。

しかし内乱終盤に深傷を負い、この世を去った。



・次世代の忍 ウズメ


 ミカヅチの内乱が勃発するとサイゾウと共に海を渡った。

内乱の最中、彼の後継者として大きく成長し、倒幕軍の勝利に大きく貢献した。

戦後はサイゾウの跡を継ぎ、一族を率いる長となる。

また、一説によるとこの内乱で彼女には想い人ができたらしい。



・若き覇王 ザイード


 連合軍解散後、ザドアの大砂漠に帰る。

その後、民を率いて数年間ディヴァーン朝と争い、ついにディヴァーンを滅ぼした。

ディヴァーン滅亡後はヴェルガ王国を樹立し、再興したジン国と共に東エスニアの中心となる。

ルナミアとは犬猿の仲で顔を合わせる度に喧嘩をしていたという。



・砂漠の戦鬼 ヴァネッサ


 アルヴィリア帝国との戦いで活躍した彼女はディヴァーンとの戦いでも武功を次々と立てた。

特にジン国解放戦では敵軍を正面から突破し、敵大将を討つという凄まじい活躍を見せた。

戦場に現れる戦鬼の姿は敵兵を怯えさせ、味方を高揚させたという。

終戦後、彼女は新たな戦を求めて新大陸へと向かったという。



・賢き蝙蝠 スィーヤム


 投降兵である彼は結局ザイードのもとで戦い抜いた。

ディヴァーン滅亡後は故郷へと帰るが裏切り者と蔑まれ追放された。

結局彼はヴェルガ王国に身を寄せ、そこで農園を開いた。

波瀾万丈な彼の人生だったが、余生は穏やかなものだった。



・黒薔薇の傭兵 アーダルベルト


 アルヴィリア国内の混乱が収束すると傭兵団を率いて東に向かった。

彼が率いる傭兵団はディヴァーン朝との戦いで大活躍し、戦後莫大な報酬を貰ったという。

その後、彼は傭兵団を解散。

コーンゴルドに身を寄せ、衛兵隊の指導役になった。



・東方守護 ヨシノ


 共和制アルヴィリア樹立後、国防軍東部方面軍の初代軍団長となる。

厳格で公正な彼女は軍人の鑑と称賛され、数多の将兵に慕われた。

彼女が作った軍制は国防軍の礎となり、後世に残り続けた。

また東エスニア国家との交流も積極的に行い、東西エスニアの架け橋になる。



・工業の父 ヴェネジクト


 議員としての立場は息子に譲り、アルヴィリア北部の工業化を推進した。

彼が築いた鉱山や工場は後に巨万の富を生み出し、アルヴィリアの経済を支えることになる。

また、ガドア地下帝国やドラゴン族との関係改善にも尽力し、晩年にドラゴン族との不可侵条約を成立させるのであった。



・紅の女豹 エリザベート


 共和制アルヴィリア樹立後、初代貴族院代表となる。

優れた政治的手腕を遺憾なく発揮し、戦後復興を迅速に進めた。

ルナミアのことはライバル視しつつも協力しあい、二人は様々な政策を打ち出していった。

後年は新大陸との交易に力を入れて、幾つもの海洋交易路を開拓した。



・英雄の支持者 ダニエル男爵


 エルス=バウの戦い後、自領に戻る。

その後、敵前逃亡をしたとして自ら蟄居し、爵位の返上を求める。

しかしルナミアに「この国を支えてほしい」と頼み込まれ、共和制アルヴィリアの議院として復帰。

エリザベートと共に貴族院の中心人物となった。



・老練の義将 クルーべ侯爵


 共和制アルヴィリア樹立までの間、帝国軍の総指揮官を勤め続けた。

帝国軍が国防軍に変わると多くの者に惜しまれながら家督を子に譲り、引退。

余生は自領で過ごし、数年後にこの世を去った。

王国時代から戦い抜いた老将の生き様は後世まで語り継がれた。



・鉄腕の豪将 ゲルデロート


 主人であるクルーべ侯爵の頼まれ軍に残る。

国防軍が成立すると新兵の教官となり、その厳しい訓練から鬼教官と多くの新兵に恐れられた。

晩年は軍から去り、ゲルデロート流武術を広める旅に出たがイマイチ世間に浸透しなかったという。



・白銀の猛牛 フランツ


 クルーべ侯爵引退後、国防軍の初代総司令官になる。

父親譲りの豪胆さと実直さは多くの者を惹きつけ、慕われた。

老いるまで軍に所属し、後年の彼は父親に瓜二つだったという。 



・コーンゴルドの盾 クロエ


 決戦後、コーンゴルドに戻る。

戦後ヴィクトリアから故郷であるクルギス領に戻らないかと提案されたが引き続き家族と共にコーンゴルドに残ることにした。

内戦時の逸話から鎧や武器の試着人として有名になり、彼女のもとには多くの鍛治職人が訪れたという。



・黒き忠臣 ヴォルフラム


 共和制アルヴィリアに移行後も引き続きルナミアの懐刀として活躍した。

しかし議会で先先代シェードラン大公暗殺の首謀者であることを追求され、失脚する。

その後は表舞台から姿を消すが公私共にルナミアを支え続けた。

晩年の彼については謎が多く、一説によるとコーンゴルドに移り住んだといわれている。



・慈愛の薬学者 ヴィクトリア


 戦後クルギス家をまとめ上げ、父親の跡を継いだ。

優れた薬学者であった彼女はアルヴィリア初の医療学校を設立し、医学の発展に大きく貢献する。

しかし聖都の戦いの際に癒し手の力を使いすぎていたため早世した。

彼女の危篤にはかつての仲間たちが駆けつけ、「私は幸せでした」と呟き、見守られながら穏やかに亡くなった。



・皇族作家 ヘンドリック


 ガドア再建の為、兄を補佐した。

祖国が復興すると再び旅に出て、数年後に小説の執筆活動を開始する。

彼のデビュー作がヒットし、作家として一躍有名になる。

その後、幾つもの作品を世に出し、歴史的な作家として名を残す。

特に彼の遺作となった『双天の叙事詩』は歴史的価値が高い資料として後世の学者たちに高く評価されるのであった。



・忠義の騎士 エドガー


 国防軍の総司令官に推挙されたが辞退。

副司令としてフランツの補佐を行なった。

数年後、彼は軍を止めて人知れず旅に出た。

その後彼がアルヴィリアに戻ることはなかったが、かつての主人であるルナミアには手紙を送っていたという。

数十年後、自由都市地方で彼らしき老人が水色の髪の少女を連れているのが目撃された。



・隻腕の剣聖 フゲン


 キオウ領に帰還後、娘と共に暮らす。

数年は隠居同然の生活をしていたが娘のフユに「働け」と尻を蹴られ、ユキノと共に用心棒稼業を始める。

その後娘の賛成もあり、ユキノを家族として迎え入れた。

晩年は道場を開き、剣聖の門下生は後年様々な流派を築く。

アルヴィリア一の剣聖と言われた彼だが家ではユキノとフユの尻にしかれていたという。



・影の従者 ユキノ


 リーシェの旅立ちを見送った後、共和制アルヴィリアの諜報部に所属する。

体制移行後のアルヴィリアを影から支え、新秩序の維持に努める。

その後、諜報部を辞めてフゲンと共に用心棒になった。

新たな家族ができた後は武器を捨て、幸せな家庭を築いた。

後年の彼女のもとにはかつての主人たちがよく訪れたという。



・黄金の雷竜王 クレスセンシア


 連合軍解散後、彼女は自身の家に帰る。

その後暫くは表舞台から姿を消すが、ミカヅチで内乱が発生し、水竜王が姿を消すと復帰。

ルナミアからの依頼で単身ミカヅチに入り、情勢を探った。

ミカヅチの内乱が終結すると帰国。

コーンゴルドで暮らすようになり、己の主人を最後まで見守り、その後姿を消した。



・風弓の傭兵 ミリ


 決戦後、オークたちと共にディヴァーンとの戦いに参加した。

オークを率いるハーフエルフは瞬く間に有名となり、彼女率いるオーク戦士団は大活躍をした。

ディヴァーンに勝利した後は部下たちと共に新大陸に渡海。

現地でリーシェたちと合流した。

数十年後も傭兵を続け、賊の討伐などを行い、平和を守り続けた。



・赤毛の自由騎士 ロイ


 リーシェと共に新大陸に渡り、彼女の騎士として支え続けた。

彼は新大陸で様々な活躍をし、赤毛の自由騎士として名を残した。

数年後にリーシェと共にアルヴィリアに帰国し、暫くすると再び彼女と共に旅に出た。

晩年もリーシェの良き伴侶であり、二人で幸せに暮らしたという。



・漆黒の英雄 ルナミア


 帝政を廃止した後、共和制アルヴィリアの議員となる。

全会一致で初代議長に選出され、その生涯を国に捧げた。

ミカヅチの内乱時は幕府と討幕勢の調停者となったが最終的に交渉は決裂。

その際に彼女が幕府側に襲撃されたため、共和制アルヴィリアは討幕軍の支援を決断した。

晩年は故郷であるコーンゴルドに戻り、家族に囲まれ、静かな余生を過ごした。

彼女には二人の子がおり、父親が誰なのかは後世の学者たちの間で議論になったという。



・白亜の英雄 リーシェ


 ロイと共に新大陸に渡り、各地を旅した。

二人は新大陸で数多くの冒険をし、褐色の乙女と赤毛の騎士の物語として語り継がれることになる。

その後、ミリと合流し、更に数年後にアルヴィリアに帰国した。

帰国時に彼女は赤子を抱えており、義姉を卒倒させたという。

リーシェとその家族は冒険一家として名を馳せ、世界に多くの発見をもたらした。

晩年は義姉と共にコーンゴルドで暮らしたという。

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双天のエーポス 風来狼 @FuraiOkami

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