第17話 復讐からの復讐
「ほほーん。つまりは、MYというのは俺が壊滅させたギルド、ゴールデンランドの元メンバー30人が結成したギルドの略称ってわけか」
「そういうこった。てか、よく西の大陸に行って戻ってこれたもんだな」
「まあな、助けると決めたからにはやり遂げるのが、男の筋ってやつよ」
「意味わからんけどな」
雑談も交えて笑いながら、宿の一室にて前に話していた仲のいい情報屋と相談していたのだ。
「つまるところ、MYのやつらの言っている砂漠ってのは、おそらくこの辺りの【アリーナ砂丘】だろうな」
「アリーナ砂丘……?」
その場所は1回行ったことあるが、あまり覚えていない。だが、この大陸内ではかなり高レベルのモンスターが潜んでいたのは覚えている。
「ああ。モンスターの平均レベルはざっと、60ってとこだな。並大抵のプレイヤーじゃ当然入れない。だが、噂によるとその砂丘の中にある秘密の洞窟ってやつの中には秘宝が眠っているらしい」
「まさに砂漠って感じだな」
「だな」
秘宝……か。探しついでに見つけてみるのもありだな。まあ、リサを助けてあいつらを殺し尽くしたあとになるけど。
「情報ありがとうな。お前、情報を手にするために自分の力で色んなところをびゅんびゅん飛び回ってるんだろ?聞いたぜ。ま、あまり無理すんな。俺にできることがあれば、いつでも言ってくれ」
「ご気遣いありがとうって言っておくわ」
「おう」
俺は装備等の支度をして、アリーナ砂丘へ向かった。
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「へっ!歩けよおら!」
「きゃっ!?」
私は今、こんな汚い男共に拐われて現在、どこかの砂漠にいる。もうここは、東の大陸ではないのではと思うばかりの風景だった。
「あんたたち、私の彼に手を出したら許さないんだからね」
「許すもなにもぉ?お前を公開処刑するまではやつには手出さねぇよ。ま、もっとも彼はすぐこちらへ駆け付けてくるようだけどぉ」
笑いながら舌なめずりをするこの男。まじで、殺してやりたい……。ここは圏外だから、すぐに殺せるんだけど。
こいつらのレベルは、前より格段に上昇していた。一人では無謀だ。どちらにせよ、助けを求めなければならない。
「おっ、そろそろやつが来る頃だなぁ。お前ら!この女を縛り上げろ!そして十字架もどきに掲げろぉ!」
了解!という綺麗な返事。私は、思いっきり縛られて、めちゃくちゃ痛い。HPも少しづつ減っている。早く、助けて――。
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「おい、俺の女になにしてくれてんだ」
「ようやく英雄気取りの雑魚が助けにきてくれたよぉだねぇ。ぬはははは!俺たち、26人をたった一人で壊滅させることが、できるかぃ?」
「やってやるさ。【アサシンブレイド・オーバー】」
迅速な速さで、敵を切り刻んでいく。なんどもなんども切り刻む。何十連攻撃だろうか。俺にもわからない。
「な、なんだよ、あれ」
現在のギルマスは驚愕しているようだった。残党たちのレベルは、約70程度。俺のレベルは90に到達している。もう、誰一人抑えられる者はいなかった。
「あなた……。あいつらを、殺そうとしていないの……?」
私はボソッと呟く。どうしてそう感じたかというと、彼はやつらの残りHPが1%ぐらいになるまで減らしているだけだった。なにかを狙っている感じだが、私にわかるはずもなく。
「あいつ、俺たちを殺す勇気は持っていないようだな。予定より、少し早くなってしまったけぇどぉ?お前を殺しマース」
中継が始まった。そう、このゲームの録画・公開機能を使っているのだ。
「見てください、プレイヤーの諸君!この殺人鬼のやり方を!問答無用でPKをしようとしているではないか!!ハッハッハ!そしてぇ!この俺の隣にいる美少女は!なんと!やつの仲間でぇーす」
生放送で行われているこの動画。私はとても悔しかった。でも、この男がほんとに復讐をしようとしているのは、言うまでもない。全プレイヤーを彼の敵にしようとしているのだろう。
「この女を!殺してみマース!そぉしぃたぁらぁ!やつはプレイヤーを攻撃するのをやめるのかなぁ?」
視聴者数がかなり多くなった。この状況を視聴している人たちはみな、彼を敵だと思い込んでいるに違いない。彼と仲良かった人も、私のせいで疎遠になってしまねかねない。
「やめて!彼の敵を作らないで!あなたたちが、元々悪いのに!なんで彼を一人にさせようとするの!?」
私は必死にやめろというが、この男は聞く耳を持たないし、コメント欄にも、『この女、やつにはめられてんじゃね?』とか、『あの男、俺見たことあるぞ。そんな危ないやつには見えなかったけどな』って、知り合いがコメントしてたりしている。もちろん、彼の知り合いだ。名前は知らないけど。
「さぁ!もっと!もっと彼を侮辱してやれ!ハハハハ!おもしれぇ!最高のショーだぁ!
途端、彼の罵声は終わった。どうしてかというと、この砂丘のモンスターに喰われたからだ。彼は、そう、死んだのだ。この世から消えたのである。
視聴者の皆は戸惑っていた。コメントからして、わかる。この場所はモンスターの湧くところだと気づいてなかったのだろう。
「ふぅ。悪いな、怖い思いさせて」
彼がそう告げた。わたしは、一生この男に着いていこうと決意を新たにする。
初心者だった僕が気づいたら最強になってました 龍牙王鳳 @saoaloggounlimitedworld1245
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