24・・かすかに動くその指で

滅びた東京の現実を見た。

俺はコンクリートブロックに潰され動けなくなっている。


――――


「ありがとう、マナ」


「・・ふふ、たまには私も言いたいな」


「そうだな、いつも助けられてばっかりで」


「いいの」


「マナ・・」


「また必ず、助けるから」


いつも助けられてばかり、そして、今回も。


―――俺の目の前では、メイズンの槍が、マナの胸を貫通していた。


「!?」


なんだこれは?俺はこれは夢だと信じたかった。

がれきに覆われた、東京の現実が、マシに思えるほどだ。

こんなこと、信じるわけにはいかない。


「マナっ!」

俺は叫ぶ。


「な、何故!?」


マナは


「これで・・東京でも・・動けるから」

俺へと手を伸ばす。


「マナ!」

俺は力を振り絞って、マナの手を握る。

すると、ブラックアウトする目の前。


・・マナは治癒魔法を使える。そして槍に刺さっている。

メイズンは、現実だとすると・・まさか?



俺は意識が飛んだ。


―――ここは。暗闇と静寂。

東京。


真っ暗な世界。相変わらず俺は、コンクリートブロックに潰されている。

静寂と絶望。・・しかし、ひとつだけ、変わったことがある。

それは、俺の指が動く、という事。

そうか・・マナの治癒魔法で回復してもらったんだ。

現実の俺の身体を治すとは。コンクリートに潰された、ケガと、重度の火傷が完全に治っている。

しかし、ほとんど動けない、がれきが邪魔で自由に動けなくしてる。


唯一動くのは指先。何か覚えがあるモノに触れる。

俺のノートパソコン。


それを探る。そして、今回は

Manaにログインしている状態で、指を動かせる。

何度となく操作した、体が覚えている。


・・俺は、メイズンを検索、選択して、そして削除した。

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聖樹(マナ)の少女 沢山そらい @reserve_walk

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