お茶とともに味わいたい、ご褒美小説です

静かな夜にお茶を用意して読みたいですね。お勧めはほうじ茶です。どんな菓子にも合う懐の深さがあると思うので。まれぼし菓子店は和菓子も洋菓子も何でもござい、ですから。

主人公は、仕事が終わったお祝いに、あるいは週末のふと空いた時間に、まれぼし菓子店を訪れます。この導入部が良いですね。緊張がほぐれ、食べる幸せに浸るまでのひとときを追体験できるので。読んでいて心地よいです。

印象深いのはクリームあんみつの回。黒蜜をたっぷりかける派の主人公の楽しそうな様子ったら。「かけ過ぎだとか、他の味が台無しだとか、いわせない。この器の中身全部はわたしのものだから。わたしの自由!」 

夜のスイーツに変わるご褒美小説を、いちにちの終わりに、ぜひ。

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