息
生きてることが素晴らしいと言った人の
生きてることには素晴らしいことがいっぱいあったんだろうね。
永遠のない今だけが飽和できる。
無意味に無意識に、日常を浮遊しているのは、
そうしたいからじゃないけど、そうなっているだけ。
どうしたら一番得か考えたら、首を吊るしかなくなっちゃうよ。
朝起きて息を吸う。吸った空気の何パーセントに幸福が含まれていて、
何パーセントの人類が、朝起きて息を吸うことに幸福を見出すんだろう。
また、ため息のように息を吐く。
明日は不透明で、未来は鈍色で、
どれだけ頑張っても上には上がいて、中の上くらいの人生だ。
それくらいでいいじゃないか、なんてへらへらしても、
どうにも楽しくなんてないのに、また笑ってた。
助けてほしくて呼んだ誰かの名前に、
その誰かが応えてくれることがどれくらいあるだろう。
ちっぽけな世界でも、それよりもっとちっぽけな人間にはあまりに広くて、
繋げる手はせいぜい二つくらいまでしかなくて、二つ繋げば自分を守れない。
飽和して窒息死した今の死骸が積もって、
その上にあぐらをかいてみてもお腹は空く。
繋いでもいない両の手で自分の頬を叩いた。
乾いた音がした。まだそうやって生きていた。
(2020.02.09)
Ver_0.2.4 ひつじ @yu_hitsuji
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