第20話 どうしよう
―華々しくデビューを飾るハズだった新人戦。結局は何の結果も残せなかった。
同着の1位の2人が騎乗者無しだった為だ。
どうも、チェッカー前にフィンとクレア(ヴィー)は空へと投げ出された為に大会規定により順位取り消しとなり、3位の選手が繰り上げ1位となったみたいだ。
名前を売ると言う行為自体は成功したらしく、クルト村の全面バックアップは確約を得られた。
あの村長さん。
中々に豪気だよな。
しかし、ゴール直前のあの音が消えた感覚。
ヴィーは弾き出されたって言ってたけど、
もしかして音速越えた?
時速1225km突破しちゃいましたか?!
まさかそれはないか。
でもあの不思議な感覚。
楽しかったな。
―また行けるなら行きたい!
◆◆◆
「さて、3つアマチュアレースに参戦してもらった訳だが、1つもタイトルが取れないとはどう言う事か?」
ネアさんがテーブルをコツコツと指で叩いています。
―コースアウトによる棄権。
―コース破壊による参加資格剥奪。
―クレアが絡んで来たための双方危険行為による参加資格剥奪。
「はい!ルールが細かすぎると思います!」
「コースが狭すぎるのですわ!」
フィンとクレアが元気いっぱいに答える。
ここはアスペラトゥス家の前の庭。
そこにテーブルを出して、
エルロ、フィン、ネアさん、ノエル。
そして、何故かクレアも居た。
その周りに俺とロランさん、ノエルの地竜の
スクォーク。そしてヴィーが囲む。
今日は珍しく曇り空で少し肌寒い感じがする。足が冷えるんだよ。
空模様と同じく色々と雲行きが怪しい気がするんだよな。
ネアさんが眉間を揉みながらため息を付く。
問題児だ。それもとびっきりの。
「…。次に何か問題を起こしたら、アマチュア大会すべてにおいて、参加を拒否すると、大会委員会から通達があった…」
あたしが馬鹿だった。
まさかここまでヤバい奴らだったとは…。
「おほほ。フィンさん。お勉強をし直した方がよろしくてよ?」
「なんだよ!ちゃんと勉強してるよ!」
「クレア!お前もだよ!」
だから、この場に呼んだんだろうが!
何であたしがこの2人の責任者みたいになってんだよ!
こんなお転婆達、手に負えないぞ。
「お前ら自由にやりすぎなんだ!まったく、はぁ…っ。成り行き次第では学園の入学許可も取り下げれるかも知れんぞ?」
フィンとクレアが文句を垂れる。
コイツら…。
「ちょっとはノエルを見習ってくれよ。タイトルは3つ持ってるんだぞ?」
フィンがノエルに拍手を送る。
クレアが上から目線で褒めていた。
駄目だコイツら。
―どうすりゃ良いんだ?ちくしょうめ!
◆◆◆
さて、どうにも上手くいかない。
俺はどうするべきか?
フィンと2人でドラゴンライダーになる。
どうやら我が主は世界一を狙っているみたいなんだが、何とかしたい。
その為には意志疎通。前世の持てる知識を活かして協力したいけど、
目と目で会話するのも限界があるんだよな。
細かいニュアンスがまったく伝わらない。
ここはやはり先輩達の知恵をお借りしよう!
―と言う訳でお呼びしました。
「ロランさん。スクォークさん。ヴィーのお三方です。よろしくお願いします!」
羽根で拍手をする。
「それでお主はなんの用だ?」
「ええ。フィンとどうにか意志疎通をしたいのですが、どうすれば出来ますか?」
そもそも、竜気による念話は同じ竜気を持つ者同士の有線通話みたいなモノだ。
竜気を持たない人間との使用は出来ない。
だけどこのお三方。ちゃんと主と会話しているように見える。
「うむ勘よ。長年の呼吸と言うものか?」
勘!?
「主。鱗をコツコツ叩く。それで覚えた」
スクォークさんモールス信号か!?
「私は魔法で会話してますよ?」
ヴィーが衝撃的な発言をした!
「もっとも、ほとんど聞いてくれないのですが」
ああ、納得。
じゃなくて、魔法で会話!
正直、自分の常識を疑ってしまう内容だ。
だが突破口は見えた!
実に素晴らしいです。
「ヴィーは凄いな!尊敬するよ!大したお礼は出来ないけど教えて貰えないかな?」
「あ、あの、ありがとうございます…」
何か照れてますか?
ドラゴンの姿だけど可愛らしく感じて来たな。なんと無く顔が赤くなってる気もする。
しかし、
「魔法と来たか。どうすれば良いのか」
「風魔法を使って自分の声にしてますよ?少し慣れが必要ですが、初歩の魔法の応用で出来ます」
なるほど。何とかなりそうな感じだ。
考え込むと、
ロランさんから質問が飛んできた。
「そもそもお主?人間の言葉を理解しているのか?それが判らなければ魔法は使えぬぞ」
―あっ!?
すみません。ヴィー先生。
言葉からお願い出来します。
拝啓。異世界の空も青く広いです。 風色猫 @399871
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