【13-29】異臭騒動 中
【第13章 登場人物】
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894256758/episodes/16816700429616993855
【地図】ヴァナヘイム国 (13章修正)
https://kakuyomu.jp/users/FuminoriAkiyama/news/16817330651819936625
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アレン=カムハル少尉は、後輩・ニアム=レクレナ少尉の奇行を見つめている。
この女参謀は、獲物を見つけた肉食獣のように、抜き足・差し足で歩を運んでいた。彼女の視線の先には、1人の従卒がいる。
正しくは、従卒の制帽制服を身にまとったソル=ムンディル参謀見習いであった。資料が詰まった木箱を一生懸命運んでいる。
この赤髪の少女は13歳になるはずだが、大きな制帽を頭に載せているせいか、実年齢よりも幼く見えてしまう。
そんな参謀見習いの後ろから女少尉は忍び寄るや、一挙に距離を詰めた。
見事な捕食……少女を抱き寄せては、赤毛に蜂蜜頭をぐりぐりさせている。レクレナ流のスキンシップなのだろう。
「んん~~ソルちゃん~~~いい匂い~~」
何度拒まれても、レクレナは少女が可愛くて仕方がないらしい。
書類の輸送中のため、ソルの両手は自由が利かないことに、彼女は気が付いてたのだろう。いつもだったら、即座に引っ
しかし、女少尉の口からこぼれる
「あいたたたた~~~~ッ」
木箱を抱えたまま、ソルはのっしのっしと歩き去った。痛みにのたうつレクレナを残して。
――なるほど、引っ掻かれはしなかったが、噛みつかれたらしい。
カムハルは、レクレナの仕事に書類輸送を追加しようと決意した。
ソル=ムンディル参謀見習いは、大きな戦力に育ちつつある。
はじめは、作戦資料における検算を手伝ってもらうだけだった。
【2-3】利息
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894256758/episodes/16816700427176857765
だが、直属の上司たるカムハルは気がついている。このヴァーラス領ご令嬢の内政・軍事における見識は、下手な大人のそれをゆうに上回ることに。
先日、彼女は
一方で、帝国軍参謀部は、慢性的な人手不足である。24時間365日、猫の手も借りたい状況であった。
そこで、カムハルはこの赤髪の少女に白羽の矢を立てた。異臭騒動調査のため、護衛や補佐の兵卒を付けて、彼女を現地・エドラ城下に派遣することにしたのである。
3日後、ソル一行はエドラの城門をくぐった。
しかし、少女はポニーに
そこは、腐乱した肉のような臭いが、屋外まで漂っていた。
「臭くて眠れたものじゃないです」
ここに寝泊りしている兵卒たちは、窮状を訴えた。
調査班・班長たるソルは、小さな鼻にハンカチを当てて、聞き込みを続けていく。どうやら、兵卒を悩ます臭いは、
「地中ではない……?」
少女は他の大人たちよりも鼻が利いた。臭気は室内に進むほど強くなる。臭いの源は、中庭の地中などではなく、屋内にあるのではないか。
確かに、この家屋では、2階へ行くほど悪臭は強くなるようだ。
少女は赤髪を揺らし、階上へあがった。そこで臭いの発生源を突き止めることに成功する。
それは、天井裏だった。
【作者からのお願い】
この先も「航跡」は続いていきます。
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ソルたちの乗った船の推進力となりますので、何卒、よろしくお願い申し上げます🚢
【予 告】
次回、「異臭騒動 下」お楽しみに。
ソル=ムンディル参謀見習い一行は、3階へ駆け上がった。
そこで、少女は腰の短剣を勢いよく抜く。そして、天井に切り込みを入れるべく、やッという声とともに飛び上がった。
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