【プレイバック⑨】アシイン=ゴウラの小休止

【第3章 登場人物】

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894256758/episodes/16816927860003776772

【査問会 席次表】

https://kakuyomu.jp/users/FuminoriAkiyama/news/16816927860241110695

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 帝国暦382年春、第二次東征軍の参謀として、俺たちレイス隊は抜擢ばってきされた。


 そして、同年秋以降、オウェル参謀長の麾下として、東征軍の作戦立案に従事し、目覚ましい戦果を上げていった。


 その辺りについては、副長殿による先のプレイバックに委ねることにしよう。


 おっと、その間に、俺はスクワットでもしようか。


【プレイバック①】キイルタ=トラフの小休止

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894256758/episodes/16816927860236991874




 は、先任参謀として、その才能をいかんなく発揮した。


 チェスの長手詰めのような作戦を成功させ、ヴァナヘイム軍司令官を村落もろともぎ払ったわけである。


 ところが、画竜点睛を欠くとはこのことか。その作戦のなかで、イブラ=マグノマン准将を死なせちまった――敵とともに味方まで吹き飛ばしちゃ、いかんでしょうな。


 まったく、らしからぬ失策である。マグノマン准将の作戦の絡みから爆死までの一連の流れが、どうにも不自然さを感じるのは、俺だけではなさそうだ。


 その辺りを副長殿が踏み込んで、本人に尋ねられたそうだが、はぐらかされちまったらしい。


【2-16】祝勝会 下

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894256758/episodes/16816927860024262096




 そうこうしているうちに、子分マグノマン准将を殺された東都の黒狐くろぎつねが、たくさんの手下を引き連れて、東征軍に乗り込んできた。そして、をクロと決めつけたような査問会が開かれる。


【3-1】査問 ①

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 を話せば、立身出世の道を約束しよう。


 戦後、領地加増も思いのままだ。


 査問の席に臨んだ俺に、全身キンピカの査問官から、あらゆる誘惑が差し向けられた。



 査問会に臨むにあたって、事前に副長殿から模範解答を徹底的に叩き込まれた。


 俺はもちろん、後輩のカムハル、レクレナ以下、全員にが組まれたのである。連日行われたでは、解答を間違えたり、余計なことを口にしたりすれば、即座に副長の鉄拳が飛んできた。


 俺は、いつも余計な一言を漏らしてしまい――頬やあごにグーを見舞われた。


 レクレナは、模範解答を丸暗記しただけで、そこに並ぶ言葉の意味を理解しておらず――デコピンを見舞われていた。



 こうしたの効果もあり、俺たちは査問会を無事に乗り越えることができたわけである。


 退室間際、口を割らなかった俺に対し、禿げ頭と包帯まみれの査問官が、苦々し気に毒を吐いた。


 所詮はゴウラ家の甥っ子か。


 一族は揃いも揃って役立たずばかりだ。



 それらを背中に浴びながら、立身出世や領地加増などに釣られなくて本当に良かったと思った。


 もっとも、出世や所領なんぞで、俺の女神副長殿に対する想いはブレぬ(美女の鉄拳を浴び続け、変な趣味が芽生えたわけでは決してない。いや、本当に……たぶん)。



 結局、査問会は、で、追及を振り切ったことで終結した。



 しかしというか、やはりというか、俺たちは参謀部を罷免ひめんされちまった。


 しかしというか、やはりというか、これまでの作戦内容があだとなり、俺たちの引き取り手は、なかなか見つからなかった。


 レイス隊は、各隊から「奴隷使い」「味方殺し」のレッテルを貼られていたわけだ。



 所属先が不定のまま、工兵隊や輜重しちょう隊の補助に駆り出されるのではないかと、隊内で噂が立ち始めた頃である。


 捨てる神あらば、拾う神あり――。


 俺たちを引き受けてくれる部隊が現れた。



 総司令官閣下の御息女・エリウ=アトロン大佐――通称・レディ・アトロン率いる第3連隊である。






【作者からのお願い】

この先も「アシイン=ゴウラの小休止」に、もう少しだけお付き合いください。


北の大陸での戦役が、東征軍の参謀に抜擢されるきっかけになった――それに驚かれた方、

副長殿の鉄拳を受けたい方(いないか)、

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ゴウラたちの乗った船の推進力となりますので、何卒、よろしくお願い申し上げます🚢



【予 告】

次回、「【プレイバック⑩】アシイン=ゴウラの小休止」お楽しみに。


レディ・アトロン麾下に配属されたレイス隊の様子を、ゴウラがお伝えします。

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