【プレイバック⑧】アシイン=ゴウラの小休止
【第1章 登場人物】
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894256758/episodes/16816700427139187640
【世界地図】航跡の舞台※第9章 修正
https://kakuyomu.jp/users/FuminoriAkiyama/news/16817139556452952442
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副長殿、申し訳ございません……。
そうでした。自分に課せられたのは、帝国・ヴァナヘイム国抗争についての振り返りでした。
カンテラを器用に用いて発光信号を送ってきたトラフ少尉に、俺は生存本能のままに駆け寄り、
どうやら、鬼副長がオカンムリなのは、俺の話が北伐戦役に寄り道していたことではなさそうだ。黄金獅子の旗を上手く作れなかった
「なんでもできる中尉殿」が、工作が苦手であっても良いのではないか――そういえば、子守もできぬと、レクレナに茶化されていたな。
【5-1】説得
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894256758/episodes/16816700427607616457
完全無欠よりも、1つや2つくらい弱点をお持ちの方が素敵じゃないか、と俺は思う。
え?これから軽食を取られたのち、さらに軍議継続ですか。
本当にお疲れ様です。
ええ、了解いたしました。こちらは、自分にお任せください――背筋500回をこなした後、再開します。
***
サマラ撤退作戦は、成功した。
北大陸・ステンカ戦役の最終盤――セラ=レイスが臨時に指揮なす第18連隊は、濃霧に紛れてサマラ城塞都市へ接近。そこに孤立していた帝国軍将兵を、1人も落伍者を出すことなく、見事に救出せしめたわけである。
不屈の3度目の挑戦に、自然現象も
ステンカ王国軍は追撃を試みた。しかし、霧向こうからの予想以上の銃撃と乳白色の合間に見え隠れする黄金獅子の旗を前に、帝国の救出部隊は師団規模以上と判断、深追いを避けている。
うちの大将の作戦は見事にハマったと言えよう。
だが、栄光の帝国戦旗を偽造したのはまずかった。
俺たちは、任務完了に伴う
公爵家嫡男以下3,000名の命よりも、たかだか布っきれの複製を重視する帝国上層部には、反吐が出る思いだった。
だが、この時の俺たちの尽力を、きちんと見てくれている人はいた。
ステンカ戦役から3年後――382年春のことである。
イーストコノート大陸東部に
以下のエピソードは、第二次東征軍編成までアトロン将軍の下で過ごした、士官学校同期から聞いた話だ。
第二次東征軍の新任総司令官・ズフタフ=アトロン大将と、同じく新任参謀長・スタア=オウェル中将は、ヴァナヘイム国攻略は容易ならざるものと見越し、幕僚人事には特に注力した。
先任参謀に白羽の矢を立てたのも、その一環であった。
東都・ダンダアクの司令官公室にて、総司令官と参謀長は応接用ソファに腰掛けていた。
東征軍のオーナー・アルイル=オーラム上級大将の指示により、ポストが内定している人選もあったが、人事権の多くは、この2人に任されていたとされる。
ここで、2人は茶目っ気を出す。役職ごとに推挙したい人物を紙に書いて、それぞれ見せ合うことにしたわけである。
お互い寡黙であり、議論が盛り上がらないことを危惧した俺の同期たちが、どうやら提案したようだ。
副司令官から順次、幕僚候補の氏名が書かれた紙がローテーブルの上に出されていく。都度、推挙する理由を述べ合い、より適任だと思う人物を残していった。
続いて、先任参謀の候補人物である。
せいので出された紙片には、まったく同じ名前が記されていた。
セラ=レイス――と。
事前に意見交換をしたわけでもないのに、先任参謀の人選については、両者とも推挙したい人物が、ピタリと一致したわけである。
これには、あの謹厳実直・鉄面皮のオウェル参謀長が、顔に片手を当てて笑ったという逸話も残されている。
サマラ撤退作戦を見事に完遂せしめた紅髪の若者を、2人は高く評価していたのだった。
こうして、前年大尉に昇進したばかりのセラ=レイスは、少佐に昇進のうえ、第二次東征軍に迎えられることになったわけである。
【作者からのお願い】
この先も「アシイン=ゴウラの小休止」に、もう少しだけお付き合いください。
北の大陸での戦役が、東征軍の参謀に抜擢されるきっかけになった――それに驚かれた方、ぜひこちらからフォロー🔖や⭐️評価をお願いいたします
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ゴウラたちの乗った船の推進力となりますので、何卒、よろしくお願い申し上げます🚢
【予 告】
次回、「【プレイバック⑨】アシイン=ゴウラの小休止」お楽しみに。
味方のマグノマン准将とともに敵総司令官を屠ったヴィムル河流域会戦。そして、査問会とテンポよく振り返ります。
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