【7-6】蹄の印 下
【第7章 登場人物】
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894256758/episodes/16816700428974366003
【世界地図】航跡の舞台
https://kakuyomu.jp/users/FuminoriAkiyama/news/16816927860607993226
【組織図】帝国東征軍(略図)
https://kakuyomu.jp/users/FuminoriAkiyama/news/16816927862185728682
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ヴァナヘイム国の中枢に居る者のなかに、現場の総司令官からの要求に理解を示す者が出てきたら――。
トラフの脳裏に、1人の少女の姿が浮かぶ。
大粒の涙をこぼし、自分も連れて行ってくれとせがむ、淡い赤髪の少女。
祖母から遣わされた迎えの馬車に、諦めたように乗り込む小さな背中――。
彼女の問わず語りに出てきた、ヴァナヘイム国における3人の良識人のうち、軍務省次官と農務大臣はまだ健在だ。
【5-8】少女の冒険 ② 新聞
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894256758/episodes/16816927860844395438
帝国東征軍は、ヴァナヘイム軍
ヴァ軍指揮官のものと思しき発想と、ヴァ軍軍務次官のものと思しき行動力に、トラフは舌を巻くほかなかった。
背中に流れる冷たい一筋を知覚し、彼女は思わずレイスの顔を見上げた。
上官の顔色は、優れないように見える。それは、下火になりつつある糧食を焼く炎や、心もとないカンテラの光のせいだけではないだろう。
帝国東征軍が、危機的状況に陥りつつあることを、誰よりも初めに見抜いた彼こそ、冷や汗をかいているに違いない。
ブレギアとヴァナヘイムが同盟締結か――。
帰営後、セラ=レイス少佐からの報告を聞いても、エリウ=アトロン大佐は、形のよい
「こいつは……」
しかし、この紅毛の部下が現場で回収したマナナン社製の
「ブレギアとヴァナヘイムが軍事提携だと?」
「貴官は、この暑さで頭をやられてしまったのではないかね?」
翌朝、レディ・アトロンは、昨夜の輸送隊襲撃の
しかし、帝国軍の右翼を任されている中将とその幕僚たちのなかで、事態の深刻さに気がついた者はいなかった。
無理もない。
ブレギア建国前から両国が戦い続けていることは、子どもでも知っている事実である。
「平民向けの三流新聞だって、もっと現実味のある記事を書くとは思わないかね」
中将は
その面白くもない冗談にへつらうように、大袈裟な笑い声が起こった。
それらから視線をそらし、聴覚を遮断すると、レディ・アトロンは1人敬礼し、
【作者からのお願い】
この先も「航跡」は続いていきます。
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抽選で10名様に、レディ・アトロンの眉芸を披露いたし……薔薇彫刻入りの白刃――アトロン家名刀――が秋山の首筋に当てられました。残念ながら当企画は見送らせていただきます💦
フォロー🔖や⭐️評価は随時受付中です!
レイスたちの乗った船の推進力となりますので、よろしくお願い申し上げます🚢
【予 告】
次回、「親書 上」お楽しみに。
ブレギア国主、フォラ=カーヴァルのもとに、ヴァナヘイム国王の親書が届いたのは、帝国暦383年5月29日のことであった。
義弟のウテカ=ホーンスキンがたまらず声をかける。
「義兄上、ヴァナヘイム国はなんと?」
「……我が国と手を携えたいと言って参った」
カーヴァルは、大儀そうに親書を義弟に手渡した。
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