第2話 過ぎ去った遠い日々

そばにいた少女?

ダメだやはり思い出せない………ボンヤリとシルエットは浮かぶのだけど顔だけが何故か思い出せないのだ


しかし……どうにも気になるのでその答えを探しにオレは夜明けのハイウェイを走っている。


突然、音楽を大音量で流しながら走行している車が追い越し車線にあらわれ、割り込んで来たので、オレはあわててブレーキを踏み、両手をクラクションにかけたが向こうはスピードをあげて排気管から煙を吐き出し、オレの車を追い越して行った。

ハンドルを握っていたのは派手なTシャツの上にフライトジャケットを着た男で、その助手席に座っている女がタバコをコチラに投げつけ、オレに中指を立てて来たのがみえた。

タバコはサイドミラーに当たって落ちていった。

今さっきの若者達に対する苛立ちがおさまらず車を降りて一服したい気分になり両手がかすかに震えていた。

ヤツらはもうほとんど見えなくなるほど遠ざかって、猛スピードでとばしていった。


突然、記憶の波がどっと彼の上に押し寄せて来た。

10歳の時、父がコロンビア川の渓谷へ連れて行ってくれた時の事を思い出した。アレは7月上旬あたり

確か独立記念日だったかな? そうだここの道を通って行ったんだ。

オレと父さん、母さん、兄さんあと………

例の少女も一緒に……


ハイウェイの出口が左手に近づいてきた。


ハイウェイを降りて1マイル程走るとダイナーが見えた。

懐かしいな昔よく父さんにあそこへ連れて行ってもらったっけ?確かあそこの店はフィラデルフィアチーズステーキ・サンドイッチが絶品なんだよなぁ〜

よし、時間があればあとであのダイナーにも寄ろうかな!






さて、久しぶりの実家へと到着した。


まず庭が目に着いた。しばらく人の手が加えられていないのが一目でわかる。理由はよく分からないけどおそらくずっと放置されているんだろうな


家のベルをならすと玄関の方から大きな足音が聞こえて来た。父が飼っているボーダーコリーのリーバイだ


「やぁっ 父さん調子はどうだい?」


「おおっ まあまあだな。一体どうしたんだ!お前の方から訪ねて来るなんて珍しいな?」


「実は気になる事が少しあって昔のアルバムを見せてもらおうと思ってね……

それよりもそろそろ庭の手入れした方がいいよ」


「おう、それなら月曜日に業者ガーデナーが来る事になっているから大丈夫だぞ」


階段を登り2階へと上がった。

部屋は昔のままであった。それはまるでティーンエイジャーの頃に戻ったかの様な錯覚を覚える。

あの頃好きだったアーティストのポスター、使い古した机、カセットデッキ………何もかもが懐かしい


机の中にあった昔のアルバムを発見したのでさっそくめくってみると何故か少女の顔だけ切り取られていた。

何故か少女の隣にいる神父が妙に気になる?

この人の事もおそらくオレは知っているのだろうが

やはり思い出せない………


オレは一階に降り、思い切って父にたずねてみた。


「父さん………もしかしたら昔住んでいたあの町へ行くかもしれないんだ」


「何……今更あんな所へ何しに行くんだ?」


「実はあそこで最近、行方不明になっている人達について調べてみようと思っているんだ」


「行方不明……だと? あそこはまだそんな……」


まだって一体どういう事だ?


「昔、あの町に住んでいた頃よく遊んでくれた

少女がいたハズなんだが覚えていないかな?」


「それはクラリスの事か?」


「クラリス……そういう名前だったのか?

オレには何故か全く思い出せないんだ。その人の事を?」


その話を聞いた途端、父の表情がそれまでと

打って変わって険しくなりだした。


「いいかお前は彼女の…………クラリスの事はもう忘れるんだ、いいな!」



結局、父は少女のことに関しては何も話してくれなかった。 まあいい来週、ウォルターに聞いてみようか隣に写っている神父の事も?





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セイグロムスロットのとある夜 ルイカ @994-9294

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