最終話 そして旅立ち
僕とあんこはそこから半年、アマイモン様の屋敷で働かせてもらいながら、合間で樹さんに鍛えられた、両親の住む旧兵庫県まで向かえる体力と自分自身を守る力を身に付けるためだ。
アマイモン様に会ったその日、僕は両親に会いに行くと宣言し、それに対して樹さんは協力を申し出てくれた。
ただ、樹さんが付いて来てくれるわけではなく、僕とあんこが自分の身を守れるように鍛えてくれるという形での協力だった。
そして、世界が融合したあの日、僕は白髪になっただけかと思っていたら実は風の精霊と融合していたそうで、その力の使い方を樹さんに教えて貰った。
訓練は厳しくて何度ももうやめようかと考えたけど、樹さんの傭兵時代の話や、力が弱いと大事なものを守れない、という話を聞いて何とか堪えたよ。
旧兵庫県まで向かえる実力というのは門番の牛頭さん馬頭さんを無傷で制圧できるくらい必要らしく、僕の風を操る力とあんこの樹さんに鍛えられた格闘術で何とか課題をクリアできた。
そしてその日の夜は、樹さんが居た世界の謎肉で色々と美味しい料理を振舞ってくれ、アマイモン様や牛頭馬頭さん達はじめこの屋敷に住む人たちが送別会をしてくれた、僕はそこで初めてお酒の味を覚えた、ほんのちょっとだけどね。
翌朝・・・
「樹さん、アマイモン様、色々とありがとうございました、両親を見つけたらまたここに帰ってきますので、その時はアマイモン様のために働かせてください!」
「比呂さん、無茶をしないでね、あんこもしっかりと比呂さんを守るんですわよ」
「比呂君、君の力はその気になれば他人の命を簡単に奪うことも出来る、でも君がそんな事をしない人間なのはこの半年で十分に理解はしているよ、俺みたいに血にまみれた勝利ではなく、君は君自身の道を歩んでいくんだ、俺が君に会うことはもうないだろう、君が帰ってきたころには俺はここにいない予定だしな、検討を祈るよ!」
樹さんには感謝してもしきれない、旅に必要な装備やテントなんかの道具、そして両親がいるところまでの地図まで用意してもらい、僕とあんこを鍛えてくれた。
僕とあんこは真紅の革鎧を着ている、軽くて動きやすくこれなら一日中着てても苦にならない、あと僕には槍と刀をくれた、刀は僕が刀に認められたら本当の力を発揮してくれるらしい、きっと驚くぞといたずら小僧のように笑う樹さんが印象的だった。
「え?もうイツキに会えないのかにゃ?ごはんは?」
「あんこ、料理は僕が作るから、、、樹さん、本当にありがとうございました、おかげで僕は自分の進む道を見つけて、それに対して努力することを覚えました、僕は今まで目の前の事に流されて、自分で何も決めてこなかったんだと自覚できたのは樹さんのおかげです、僕は両親に会って、今の自分を見てもらって、これからも自分の道を歩いて行きます!」
「ホラ、ヒロ様、さっさといくのにゃ!」
あんこはいつも通り急かしてくるけど、これが本音じゃないことも判ってる、あんこも樹さんやアマイモン様と別れるのが辛くて強がってるだけなんだ。
旧兵庫県までどれだけ時間がかかるかもわからない、途中で怖いことも嫌なことも色々とあるだろう、でも僕はあんこと一緒ならいけそうな気がしている。
僕は槍を持ち、背中にはキャンプ道具道具一式を背負い、腰には刀を下げている、体力もついたのでそんなに重くは感じない。
「よし、行こう!」
そして、僕たちは歩き始めた・・・
神や悪魔が現世に、僕はネコマタと好きに生きてます。 榊ジュン @jun-sakaki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます