送り出されてヘルメスは行く

二つ年下の同僚は自分よりも優秀で、パワフルで、どんどん先へ進み、そして先に死んだ。
そうして残った、自分を平凡と自負する研究者の視点で語られる物語。
当初はひとつの新しい物質の研究であったはずが、同僚の死を境に新たな側面が明らかになる。

発見、気付き、そういった知的現象は公的にも私的にも新しい道筋を拓いてくれますが、本作品においても、息の詰まる状況が発見によって突破されて行きます。

気持ちいい……。

かの有名なヘルメスの多様な側面が最後に収斂するところまで、どうか読み進めてみてください。
知的で泥臭く、力強くて爽やかな読み味でした。

旅は続く!