上を向いて吐く呆気の友人
丹沢夏筆
第1話
幕の一
日本の或いは日本語の閉塞感に関して
出歩くたび留まらぬ強制二人三脚は
海の外へと抜け出みてあらため
対比として強烈に浮かぶ
幾分ましである自身による構築
人の世の彩りは虚偽として
真実から目を背けた反動で
心理を探る対話を始める
言葉に絡めとられてゆく
やがてそこに美意識を求める
その過去は愉悦となり
雨を糧、鬱蒼と茂る
現実には終わりがある
そう錯覚するのは物語の所為
いつかみた夢を追い求め
再び思い出す眠りにつく
幕の二
夢を観続けるための公式
齢と共に蓄積される経験
自分にとってのみの適解
己の夢に対応し適応する
歪に進化した儀式様式は
多様性の元に肯定される
答えのない日々を愛しみ慈しみ
問いの尽きる日を恐れ苦しみ
朽ちる日を待ちわび今日も死ぬ
幕の三
闇のなか闇へと何度でも潜る矛盾に
記憶と現実は乖離を進め
喜びのなか息を絶え
飲酒の苦みと甘さに心を吹き返す
中毒を肯定した際に
一定のフィールドが上昇を認める
それは錯覚であるけれど
今ここにある俺は現実
意味のない日々に求めるとき
私は何度でも筆をとる
意味のない人生にそれを求めたとき
私はそれは違うと戒める
苛みの塔は高く聳え
明日の輝きを永遠に語る
上を向いて吐く呆気の友人 丹沢夏筆 @natsufude
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