記憶

夜霧 紫苑

第1話

バットを蒸かし、ギムレットの入ったグラスを傾けた時ふと思った。

中高時代自分はどんな人間であったかと。


少なくとも、輝かしい未来を夢見ていたであろう。

少なくとも、酒と煙草にすがるような生き方はしていないだろうと考えていたであろう。


だが、実際はどうだ。今、自分は大学四年だ。

将来の夢などもなく、ただ酒と煙草に溺れ。内定と単位は取ったものの自分の人生への価値観など見いだせず、ただひたすらに燻っているだけのクズみたいな人間へと成り下がっっているではないか。


恋愛も全敗、疑心暗鬼、生きる価値などあるのか、

そんな事を考える毎日。

最終的に行き着く先は、酒と煙草と薬に頼るクズ同然の生き方である。頼れる者はいない。

こんな人間が行き着く先には何があるのか、、、

考えるだけでも怖くなるが結局待つのは世間で言う最悪の選択肢なのであろう。

だが、その選択肢を取ったとしても間違いではなかったと思えればそれでいいのだ。

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記憶 夜霧 紫苑 @Tr_180

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