第19話 女神と勇者はよく食べる

「もう10杯目だぞ……」

「噂では、食費で狩の収入の大半を食べ尽くすと言われているほどでして……ついたあだ名が爆食爆弾……戦闘の性能は悪くないのですが、全てのプレイヤーから嫌われた地雷キャラです……」


「そんな地雷、俺に押し付けるなよ!」

「ラーフィアのガチャは操作されてないですから、純粋に健作さんの引きの問題です!」


「くっ……確かにクジ運は悪い方だが……おい、バカ女神、ここの勘定は割り勘だからな」

「…………えええ! ちょっと待ってくださいよ! 割り勘って……あの爆食爆弾の食べたのもですか!」


「当たり前だ! 俺の仲間はお前の仲間、お前の仲間はお前の仲間だろ! 食事代くらいだぜ!」

「ちょっとよくわからないですけど……」

「く……それにしてもよく食うな……これは働いて稼がせないと割に合わんぞ」


爆食爆弾は俺と下僕女神が言い合いしている間も、恐ろしい勢いで食事をしている、いや、もはやそれは食事ではない! 何かのこう……大自然の脅威にするら見てくる。


「ですよね! そうなればメインクエストを進めていくしか無いと思うんですよ! 儲かりますよ! 一緒に稼ぎましょうよ!」


「何嬉しそうに言ってんだよ……」

「だって……メインクエストは実入りもいいですし……私の歩合も……」

「いや……もっと効率がいい稼ぎ方があるはずだ」


「そんな〜メインクエストしましょうよ〜」

「しつこいぞ! うん……待てよ……もしかして貴様……もっと稼ぎのいい方法知っているんじゃないのか……」


「し……知りませんよ……そんなの……」

「目がバタフライで泳いでるぞ……はは〜ん……さてはその方法……歩合が入らねえな!」

「ぐっき! な……なんのことですか……私は金魚狩りなんて……し……知りませんから……」


「金魚狩りか、それでそれはどうやるのだ」

「……いえ……本当に無理なんですよ……金魚狩りはパーティーダンジョンの専用モンスターで、ソロプレイでは決してできないお金稼ぎなんです」

「パーティープレイだと……お前や爆食がいるではないか」


「いえ……プレイヤーパーティーじゃ無いとダメなんです……」

「よし、パーティーを募集しよう」

「えええ!? 今のラーフィアには、プレイヤーは健作さんしかいないじゃないですか!」


「ふっ、そんなのはわからんぞ、いいか、会社のサーバーにラーフィアのサーバーは接続されている……会社のサーバーはネットに繋がっているから、ハッカーや不正アクセスに詳しいプレイヤーが無断で接続している可能性はあるのだよ」


「そうなんですか! でも……やっぱりありえませんよ……私に気づかれないでラーフィアの世界に入ってくるなんて……」


「お前だから可能性があると思わねえか、逆にミュレイがお前の立場なら俺も100%ありえないと思うが、バカ女神だぞ、よく自分のことを思い出して言ってみろ」


「…………確かに私なら見逃す可能性がありますね! よし、それではパーティーウィンドウを開きましょう! 不正プレイヤーにパーティー申請です!」


まあ、そうは言ったがそんな可能性は万に一つも無いと思っていた……だが、下僕女神の言うように、パーティーウインドウからパーティー募集を出したら、なんと! すぐに一人のプレイヤーからパーティー参加の申請が来たのだ。


「きましたね……」

「きたな……よし、参加を許可するぞ」

「待ってください! ちょっと怖いんですけど……何か霊的な現象じゃ無いですよね!」


「なんだよお前、AIのクセに霊的な何かを信じてるのか?」

「信じてませんけど怖いじゃ無いですか!」

「信じてないのに怖い訳ねえだろ! いいから許可するからな!」


そう言って俺はそのプレイヤーの申請を許可した……

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