脆さや歪さをどこか感じさせ、充足感の無い作中の雰囲気は、読者の中に入り込み、その欠落した何かを探し始める。目標が目標でなくなった時、何を依り代に歩んでゆくのかを、ショッキングな日常の一端から発露させて、主人公や読者に問いかける。様々な人間模様を提示し、卑屈さのない「よそはよそ、うちはうち」というものを描き出す。