052「ファントムシップ〜幽霊船と亡国の姫〜」/中村仁人さん ※ネタバレあり※個人的意見あり※
https://kakuyomu.jp/works/1177354054892448960
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※ネタバレを含みますので、小説を未読の方は存分にご注意ください※
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五十五万文字超えの、大変に読み応えのある物語でした。
よくある出会いと成長の海洋冒険もの、ではありません。
とんでもなかった。
とある秘密を抱える「幽霊船」とそのカギを握る少女、そして滅亡した国の、王族の生き残りである主人公のお姫様。
彼女たちを取り巻く、三つ巴どころかいくつの勢力が絡まり合ってんだ? というくらいに入り乱れた、歴史と情勢と事情と私情と思惑と――
とんでもなかった(二回目)。
読みながら、各勢力の歴史を年表にまとめようかと思うくらいに、情報量が多かったです。
指輪物語の年表みたいな、おまけ解説ページが欲しい。
それを見ながら物語の余韻を噛み締めたい。
敵を単純に悪だと思えなくさせる構成もその設定も、ニクイなあズルイなあと思いました。
加えて、船や航海についてまったく知識のない私(面舵と取舵はどっちがどっちだっけ? ってくらい←面舵は右で取舵は左←さっき調べた)でもぐいぐい読んでしまう、海上バトルの臨場感たるや。
圧巻の筆力。
しかも読みやすい。
すばらしい。
この小説の魅力については私があれこれ言うよりも、とてもわかりやすく素敵なレビューがありますのでそちらをご覧ください。
本当にレビューの内容のとおりです。
そしてこんなレビューが書ける人生でありたかったです。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054892448960/reviews/16816452220535959715
https://kakuyomu.jp/works/1177354054892448960/reviews/16816452220376447858
大変な情報量の文章をミチミチに詰め込んで、「これ紙の本で読みたい……」と思わせようと思えばいくらでもできたはずだし、そういうのも私は好きです。
しかし、この物語をウェブ上で読みやすくするために、作者さんはきっとたくさん原稿に手を入れたんだろうなあと思います。
よくぞここまで書ききってくださいました。
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【以下、ネタバレ含む個人的意見(※あくまでもイチ個人の意見ですのでどうぞ読み飛ばしてください※)】
惜しむらくは、この文字数を使って〝俺たちの闘いはこれからだ〟エンドだったことです。
解決してほしかった。
リルを救って、ほんのり切ないハッピーエンドであってほしかった(完全に個人の好みです)。
いや、わかるんです。
あの各勢力の歴史と情勢の説明、船の説明、魔法の説明をするためには文字数が必要です。
創り込まれた世界設定、大変おもしろかったです。
ですが、情報が多くなればなるほど主人公の影が薄くなりがちで、タグの「女性主人公」はむしろ「群像劇」の方が当てはまるのでは? と思いました。
ただ、「群像劇」タグが入っていたらきっと私はこの物語を読まなかったので、タグづけに関しては何が正解とも言えないのですが……。
群像劇好きの方にも、ぜひ読んでもらいたいです。
渋いオジサマたちが大勢出てきて、個人的にはホクホクしてました。
あとお姫様が実に男前!
カッコよくて惚れる!
もうちょっと「年相応の女の子」な部分を見せてくれたら、親近感も沸いてさらに応援したくなったと思います。
欲を言うなら若いイケメンが登場して、ほんのりでいいので主人公とじれじれしてほしかったです。
そういうシーンがあると、緊迫した状況が続く中で、かなり癒しになると思います。
読者にとっても、エルミラにとっても。
【ネタバレ含む個人的意見終わり】
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で、この、とんでもない物語。
もちろん続きは、あるんですよね!?
……
ね!?
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