辞表とトンカツランチ
小川貴央
第1話 辞表とトンカツランチ
競争率20倍の難関に合格
200人以上応募して男は僅か
6人だった
家計も苦しく短大を選びオール
優の首席とはいえ、たかが3流
しかし俺の横には早稲田、慶応
地元国立大、明治が並んでいた
3流が1流と肩を並べて、同じ
ラインに立った誇りを感じた
しかし・・・
お世辞も言えぬクソ真面目堅物
の俺がしゃくに障ったのだろう
重箱の隅を突く陰湿な虐め屋で
有名だった支店長に矛先を向け
られ、我慢の限界を越えたとき
堪忍袋の尾が切れ怒鳴りつけた
逆恨みで1週間後・・・
窓際族、本当にドラマのように
机上に本一冊のみ与えられ更に
周りも抱き込み村八分の数々の
嫌がらせ仕打ち、2週間後には
アラスカ族(最遠方の支店へと
飛ばす転勤指令)
熟慮断行の末、本店に辞表出し
帰りに独りで寄った幼い頃から
馴染みのデパートのレストラン
お気に入りのトンカツランチを
食べた時の無性に覚えた虚しさ
悔しさ、怒りは一生忘れない
小さい頃、デパートの屋上には
ミニ遊園地があった
そのデパートも来月で閉店する
長くて、しかしあっという間の
時の流れを感じている
辞表とトンカツランチ 小川貴央 @nmikky
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