社長とあたし

直根直太朗

小池

僕の今の想像は、あんまりいいとはいえない。

何しろ、あの人が小便をしているときに上から大きな板が落っこちて

「ギャー」って叫んでるのを想像して、こらえきれずに

クククと笑ったんだから。ちんこを支えながら。

僕は用を足し便所を出た。

ここは僕のお店で便所までの通路のせまいこと。

商品にぶつかってしまいそうになる。

広い店ではないので仕方ないってことにしてる。まあ無理な陳列をしてる

店なんだ。


あのひとの説明をしよう。

あのひとは、岩手出身で80歳にもなるパワフルおばさんだ。

僕のお店のお客さんだったんだけど

よく買いに来るからボケ防止の意味もこめ週に3回軽く働いてもらうことに  したんだ。

雇ったわけだけども、このおばさんの特徴は、とにかくよくしゃべる

しかも声がガマガエルをイメージさせ、ときに ひーひー息がもれる。

そしてとっても大きい声でよく響く。まともに相手をしていたら、店の

作業なんて出来ないさ。途中でなぜかこちらの声が枯れる。

いや、嫌いじゃないんだよ。ただうるさいおばさんなんだ。

どんな小さなことでもガミガミしゃべり、どんな些細なことでも

確認してくるから、途中で相手するのがめんどくさくなるんだ。


僕は店にいろんなものを、什器やら商品やらを置いているから

もう場所がないってことで、便所に棚を作ろうと考えてるんだ。

でさ、一日に何回かいく定期小便だった。ここに180センチの棒を立て

ここに、板をかまして、棚をつけ、上にやや重たいものでもおけるように

するかなって思ってたら。おばさんのことを思い出しってしまったわけさ。

そして、あのおばさん・・・もちろん女だから座ってするわけだけども

おばさんはよくふんばってる。ふんばってるもんだから便座がややズレ壊れてる。おばさんのせいだ。自分の家で糞ぐらいしてこいよ。

僕だって、便座がズレるほどいきみはしない。

 そんなこんなで

おばさんがふんばってるときに、僕が作った棚から荷物が落ちてきて

頭に直撃したら。。そうそりゃ大変な事故さぁ 

だけど あのおばさんならギャー って言いながら ガハガハ笑って

出てきそうな気がして 笑っちまったわけよ。



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