28

「よし、その話、乗った!」


 おじいさんはそう言うと、早速魔法を使って小さくなりました。一寸法師はこの突然の展開に驚きます。


「えっ、おじいさん、いつの間に……」

「説明は後じゃ、このモグラの背に乗ればええんじゃろ?」

「あ……そうだよ。じゃあこんな所からは脱出だ」


 おじいさんはモグラの背中にちょこんと座る一寸法師の後ろに座り、そのまま土の中に潜って脱獄に成功しました。土の中での移動中に、おじいさんは今まであった事を一寸法師に面白おかしく話します。話を全部聞いた一寸法師はその波乱万丈さに同情してくれたのでした。


 やがて十分距離を稼いだところで、モグラがまた地上に顔を出します。ここで一寸法師とはお別れと言う事になりました。


「僕はまだやる事があるからここでお別れだ」

「ああ、ここまでしてくれて有難うな」

「それじゃあ、お達者で」


 おじいさんが手を振りながら見守っていると、モグラはまた土の中に潜っていきました。と言う訳で、一寸法師とはここでお別れです。

 魔法の効果が切れて元の大きさに戻ったおじいさんは、背中をそらして背伸びをしました。その勢いで思いっきりシャの空気を吸い込みます。


「うう~ん。やっぱり外の空気は美味いのう」


 その場で軽くストレッチをして体をほぐしたおじいさんは、早速出発する事にしました。すぐに村に帰るのもいいのですが、折角なのでちょっと寄り道をしたい気持ちも湧き上がってきます。



 折角だからちょっと寄り道をしてみよう

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894169021

 いや、ここはまっすぐ村に帰ろう

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894124932/episodes/1177354054894235335

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る