パン・ガイア
鶴崎 和明(つるさき かずあき)
第1話
かめに乗って動きます
北の山からお日様が
寝ぼけ眼で遅刻する
南の川へとお月様
今日も今日とて午前様
まっすぐ伸びた虹を見て
雲は黄色になりました
かめに乗って動きます
いるかが空を泳いでは
へびがせっせと穴を掘る
つるは千年生きるよと
万年生きたねこが言う
仕事を投げたはちたちが
くまをおちょくり遊んでる
かめに乗って動きます
春にほころぶ柊が
懐かしそうに蝉を見る
夏に月待つすすきたち
冬眠中のへび守る
秋に黄金の大麦が
ちょうの乱舞に魅せられて
冬に舞い散る桜木に
祭囃子のきりぎりす
かめに乗って動きます
滝もたまには山登り
火山はみぞれに舌鼓
川が藻塩を作り出し
海は糖尿病になる
星が一日またたいて
砂漠がみるみる汗をかく
かめに乗って動きます
サラリーマンは早く起き
満員電車に疲れ果て
学生たちは早く起き
無機と欺瞞に囲まれて
家に在っても早く起き
家事という名の絵を縫って
年を取っても早く起き
薬という名の牢にいる
常識と知識の殻を纏い
彼らはきっと笑ってる
なあ 見ろよあれを
ありゃ おかしなせかいだぜ
と
パン・ガイア 鶴崎 和明(つるさき かずあき) @Kazuaki_Tsuru
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