夜道迷子

作者 斧間徒平

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★★★ Excellent!!!

非常に胸に刺さりました。
どんなに想いを重ねようと戸籍上の配偶者と恋人の間には歴然とした差があります。
死はその最たるものでしょう。配偶者は妻として夫を看取り、葬儀でもって送り出し、やがては同じ墓に入りと、死してもなお添い遂げる権利を当たり前のように享受します。
一方で恋人は、相手が健康を害しただけで接触すら許されない赤の他人の立場へと一瞬にして転じてしまいます。死は伝達の形でもたらされ、人知れず胸のうちで祈る事しかできません。そこには思いの強さや深さが介入する余地はありません。
そんな無情な関係を緻密な文章で描き出した傑作です。

★★★ Excellent!!!

女は歪だけど、男の最期の愛を受け取ることが出来て幸せだと思いました。

男の妻子への愛情は輪廻転生から外れることの無い、妻子の幸せを願う真っ当な愛。

男の生前、どんなに嫉妬にまみれても、女は愛する男からのその真っ当な愛情を手に入れられない立場であることを理解した上でしか、男には愛して貰えない。
この女は身をわきまえているけれど、それはとても辛く苦しいこと。

男が最期に女に望んだのは、女の幸せよりも自分の気持ち。
それがどんなに歪んだ愛だとしても、それが男からの愛ならば女は闇夜を彷徨うことになろうとも幸せだと自分は感じました。