第6話 閉鎖病棟入院生活

掃除してない部屋だな。

牢屋の布団は虫が死んでいた。汚い。

22歳の一番女な時期にトイレすら監視されているなんて恥ずかしい。しかもトイレと共に寝るなんて。。私のプライドはずたずただった。

トイレットペーパーを織り込めばロープになってこの世からいなくなれるかな。そんな事がうっすら頭を過ぎる。


次の日だろうか。院長に連れられて両親が牢屋に入って来た。

「ここで少しゆっくりしなさい。」

父が言う。母は黙ったままだ。

私は何も言わず鋭い目で両親を睨んだ。ああ、もう助けてくれないのね。裏切られた恨みは大きいかった。

それだけ言った両親はすぐ牢屋から出ていった。私はもうどうでもよかったのでSOSを出す気にもなれなかった。


人生に絶望した私はひたすらぼーっとした。と言うかぼーっと寝るしかここではない。院長も沢山何も考えずに寝ることが、うつ病には一番良いと言っていた。

蛍光灯と睨めっこしながら、私は湿気の多い布団で横になった。外ではラジオ体操の音がする。いいな、外出れて。。。私はゆっくり目を閉じた。


目が覚めた。部屋が暗い。何時間寝たのだろうか。今日は何日で今何時かな。時計が無いから分からない。こんなに時計って大事なんだな。ああ、体がだるい。頭も回らなくて思考力が落ちている。

また目を瞑り私の時は太陽と共にゆっくりと過ぎていった。


私は3日ひたすら寝て過ごした結果、頭がスッキリしてきた。考えるという事が出来るようになってきた。

早くこの病院から出たくて、院長の前ではとにかく良い子を演じた。最初は食事を食べずに抵抗したが、院長に食べてないのがバレて怒られてからは全部食べるようにした。睡眠も沢山取った。

そのおかげで、牢屋からは一週間もしないで出れたそうだ。


次は二階の大部屋になり規則正しい生活を送った。そこはトイレも別にあったし、布団は少しは綺麗だった。

私の生活は暇な時間は数独をしたり、テレビを見たりしていた。その頃はお笑い番組ブームだったのでよくロビーにあるテレビをつけ、一人でお笑いを見てニヤニヤしてた。そして一番嬉しい時間は両親が持ってきたお菓子を食べることだった。病院食しか口に出来なかったのでとても美味しく感じたのを覚えている。

また、好きなものや流行りのお菓子やテレビと触れ合う事で外の世界と繋がれている気持ちにもなれた。


入院患者は変な人しかいない。宗教に取り憑かれている人もいたし、よくわからない事をずっとぶつぶつ言ってる人もいた。もうここが家みたいになっていいて何年もいる人もいる。この人も親に裏切られたのかな。ふとそう思った。


大部屋になっても食事や掃除をしっかりして皆の前で良い子を演じた結果、私は3週間ちょっとで退院することに成功した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

メンヘラ女子 chia @chianoart

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ