過ぎたる性欲はスプラッタるが如し快楽

@dekai3

止まぬ肉欲の果てに

『オキャクサマオキャクサマオキャクサマオキャクサ…マ……キョ…………』

「あー、まずったなー」


 プスン と音を立てて動かなくなったアンドロイドを見下ろしながら、私は全身から血と白い液体を垂らしつつ手に持ったイスの残骸を静かに床に置く。


「弁償もんなのも痛いけど、さっきの記録残ってるかもしれないのがあかんわ」


 彼女は私が120分間の恋人として契約したこの店の看板娘のアンドロイドで、先ほどまで私の胎内に特大の疑似性器で大量の疑似精液を送り込んでくれていた所謂特殊プレイ用の女の子ロボットだ。

 そして、この娘が働くお店はそういった特殊プレイ用に魔改造された娘ばかりを商品として扱っている非合法の店であり、政府の管理している正規店の様にちゃんとした店舗が用意されているわけではない。

 なので、プレイルームは街の外れにある違法な捨てコンテナ群の中のこれまた違法に改造されたコンテナ内となっており、プレイの為に入室したら時間が経過するまでは中から開けれないように鍵をかけられる事になっている。

 つまり、興奮してアンドロイドを破壊する客が居ても逃がさない様に出来る防犯対策であり、逆にアンドロイドが客を殺害してしまっても証拠を隠滅しやすいというとても合理的なやり方である。

 という事は、今の私は中からは開けられない鍵のかかったコンテナ内で頭部を破壊されたアンドロイドと二人っきりという事で、密室殺人(壊アンドロイド)事件の現場に閉じ込められているという事になる。

 これはまずい。非常にまずい。


「どうしてこんな事になったんだろうなぁ…」


 特大の性器を股間に取り付けた頭部が半壊している全裸の女性型アンドロイドという前衛芸術的な物体を見下ろしながら、再度ため息を付くようにぼやく。


・出入口は一つしかなく、鍵がかかっている。

・その鍵は外部からしか開けられない。

・コンテナの中はベッドルームとバスルームに分けられていて、出入口はベッドルーム側。

・ベッドルームはプレイ用の道具が一通りあるが、コンテナの扉や壁を破壊出来る様な物は無い。

・バスルームはベッドルームと同じぐらい広くて、大きなお風呂とあっちの掃除に使う用の拘束具の付いた洋式便器が置かれている。


 完全に逃げ場がない。

 本当にどうしてこんな事になってしまったんだろう。

 どうしてアンドロイドが壊れてしまったのだろう。

 どうして私はこんな場所で全身を血と疑似精液で染めているのだろう。

 もしかしたらこの状況を打開できる案が見つかるかもしれない。ちょっと回想して振り返ってみるとしよう。




   ~ ~ ~ 回 想 開 始 ~ ~ ~




「はぁ! はぁ! はぁ! いいよぉ! いいよぉ! もっろ! もっろちょうらい!!!」

『お客様、これ以上はお客様のお体が…』

「いいがらぁ!! おなが、やぶ、やぶれれもいいがらぁ!! そそいれぇ!!!!」

『お客様いけません。無理に動かないでください。排出します』

「いいっれいっれるでしょう!!!!!」

『お客さっ! あっ!!』

「を゛っ?」

バヂュン




   ~ ~ ~ 回 想 終 了 ~ ~ ~




 まさか四つん這い馬姦イメージボテ腹プレイ中にバランスを崩したアンドロイドに潰されて内蔵が破裂するとは……ヒヤリハットってやつだっけ?

 その後、アンドロイドは血と内臓と疑似精液をまき散らしながら死んだ私を見て論理判定にエラーが起きたっぽくて処理モードに入り、暫くしてからを見て再度論理判定にエラーが起きて処理が変な風になったっぽくて、意識が朦朧としている私に無理やり心肺蘇生法をしだしたもんだから『また死ぬわ止めろ!』って思わず手の届く範囲にあったイスを掴んで振り回す事になり、なんか頭部の柔らかい部分にクリーンヒットしたみたいで動かなくなってしまった。


 一体何が悪かったのか。

 環境? 時勢? それとも前世の行い?

 まあ、彼女が疑似性器を抜こうとしていたのを興奮していた私が嫌がって暴れたからバランスを崩して覆い被さる形になったんだし、6:4ぐらいで私が悪いかもしれない。

 でも仕方ないじゃん。頭が狂いそうなぐらい気持ちよかったんだし。

 こちとら長年不死者やってるんだから、ちょっとやそっとの性的なプレイじゃ興奮しない体になってしまっている。あ、ちなみに年齢は永遠の17歳だから。

 成長は14歳ぐらいで止まってるけど、月経は来るし出産も可。というかした。

 ロボットの女の子が風俗嬢やる時代なんだし不死者が居てもおかしくないでしょ。変なミュータントとかも街の外で溢れてるし、過去のAI制御の自動戦車とか警備ロボットとかが人間を襲ってくる事もあるし、世紀末は何回か過ぎてるけど世紀末な世界のポストアポカリプスってる感じだから仕方ない。


「とりあえず証拠隠滅しとくか」


 そう言いながらベッド脇のテーブルの脚を半壊したアンドロイドの頭の上に乗せ、自分はベッドに登ってから腕を振って勢いを付ける。


「よっとぉ!」


バギンッ!!


 そしてテーブルの上に着地する事で、体重と落下の勢いとテーブルの重さを利用してアンドロイドの頭部を完全に破壊する。

 後は記録保存用のメモリーを取り出して砕くなり排水溝に流すなりすれば良い。

 これで私が不死者であるという事と、私の行動がアンドロイドが壊れる原因の内の一つになった証拠は抹消出来るはずだ。


 私は不死ではあるけれど他に特別な力を持っているわけではないので、不死者という事がバレるとそういった研究機関にあっさりと捕まえられてしまい、あれやこれやと実験をさせられる事になってしまう。というかされた。

 今の時代なら再生能力を持つミュータントは珍しくないのだが、そこそこ昔は私の様に人間の外見のままで強い不死性を持ち、反乱される恐れのない非力な少女というのはとても珍しく、研究する側からしたらとても便利だったらしい。

 あの時に嫌になるぐらい色んな実験をされたから過激なプレイを求める体になってしまったという可能性はあるし、こうして密室に閉じ込められてお店のアンドロイドを破壊した嫌疑をかけられてしまうのも元を辿ればあの研究所が悪いに違いない。

 なんだ、私悪くないじゃん。じゃあやっぱりここから逃げ出さないといけないな。なんとかしてこの密室殺人(壊アンドロイド)事件の現場から外に出なくては。

 脱出方法を考えるにしてもまずは記録媒体の破壊が先だ。床に撒き散らかされた液体で滑らないように慎重にしゃがみ、バラバラに砕けた頭部パーツの破片を漁る。


ピピピピッ! ピピピピッ! ピピピピッ! ピピピピッ!


「うおっ!?」


ドテンッ! ザクッ!


「ぐぅぅ!? 痛ぁ!?」


 残骸を漁ろうとした瞬間にタイマーの電子音が聞こえ、びっくりして足を滑らせてしまった。

 そして先程とは逆に私がアンドロイドの上に覆い被さったのだが、アンドロイドの砕けた首元から除く鋭利なパーツが腕に刺さっている。

 痛い。めちゃくちゃ痛い。変な形に尖っているから変な形に刺さっている。

 なにこれ。なんで? 呪い? 私がなんかした? そういやしたわ。ごめんな。


「治るって言っても痛いもんは痛いんだからね!」


ズルッ ビチャァ


「うぅ~~~~!!!!」


 声を出しながら一息に腕をアンドロイドの首元から引き抜き、傷穴が空気に触れる事で感じる痛みを奥歯を噛んで誤魔化す。

 いや、誤魔化せてない。痛い。かなり痛い。そしてかなり傷口が大きい。嫌になるねほんと。なんで四つん這い馬姦イメージボテ腹プレイをしに来ただけなのにこんなに怪我してんだろ。怪我するにしても内蔵破裂だけにしとけよ。それとも何か?四つん這い馬姦イメージボテ腹プレイじゃなくて、尻に注いでもらって口から吐き出す四つん這い馬姦イメージ門口直通プレイにしておくべきだったか?それなら胎が裂ける事も無かったか?でもあれお腹の中はいいけど喉の辺りが胃液の逆流で地味に痛いんだよね。それに腸が消化吸収もしちゃうからあんまりよろしくない。疑似精液は毒じゃないけど大量摂取は腹を下す。味付けは自由なんだけどね。青りんご味とか。


 と、痛みを耐える為に現実逃避をしてみるが、タイマーが鳴ったという事はそろそろ120分の恋人タイム(メンヘラもかくやという惨状だが)が終了するという事であり、それはつまり密室が解除されて私が器物破損でこの娘を弁償したり今後出禁になったりしてしまうという事なわけだ。記録媒体もトイレに流さないと不死者って事がバレるし、色々と急がなくてはならない。


「覚悟を決めるしか無いかぁ…」


ズルズル


 先程のタイマーは体の洗浄も含めてのタイマーなので、プレイの特殊さを考えると店員がコンテナの扉を開けに来るのに後20分ぐらいは時間があるはずだ。


ズルズル


 もしかしたら正直に「壊しちゃいましたテヘッ☆」と伝えれば弁償のみで許してもらえるかもしれないが、流石に部屋中に飛び散った血や内臓の誤魔化し様が無い。


ガチャ


 今、私がバスルームへ引っ張っているこのアンドロイドにもそれが付着しているのだし、咄嗟には誤魔化せても後で「あいつもしかして…」とバレてしまうだろう。


ズルズル


 実を言うと既にこの密室からの脱出の条件は揃っているのだ。もの凄く気は進まないが後は私の覚悟だけなのである。そう、もの凄く気は進まない。


「潔癖症だったら死んでるよな……あ、潔癖症でも死ねないか。地獄だわ」


 そう、不死者は死ねない。

 例えボテ腹を潰されようが、実験と称して体を刻まれようが、腕に直径3cmの穴が開こうが、不衛生な場所で大量の菌を体内に取り入れようが、死ねないのである。











◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆










「はっくしょん!! ………うぇーい」

「あれぇ? 風邪かい?」

「ええ、昨日ちょっと……」

「なんだい、まるで細切れにされてトイレに流されて下水から川へと辿り着いて全裸のまま物陰に隠れつつ家まで帰ったはいいけど下水の臭いが取れない気がして一晩中風呂場で体を洗っていたみたいじゃないか?」

「…………見てました?」

「いいや、何のこと?」

「いや、いいんですけど。それ、細切れにされてる時点で死んでるから全裸もくそもないですよね?」

「おおっと、これは一本取られたねぇ。腹でも切って詫びようか?それとも腕に穴を空けようか?」

「…………やっぱり見てました?」

「何を?」

「…………なんでもないです」

「そうそう、話は変わるけど、昨日街外れで密室殺人事件があったらしいね」

「へ、へぇ、それで?」

「その時に現場に残されていた頭を破壊されたアンドロイド、私が魔改造した特注品なのよねー。あの特大性器に合わせたバランサー組むの大変だったなー。頭部が壊されているからデータが全部パーだなー。悲しいなー。お腹空いたなー」

「…………夕飯を奢らさせてください」

「そう? 悪いねぇ。それじゃあ久しぶりに合成じゃない天然のお肉を食べようかねぇ」

「はい、分かりました……」

「まあ、これに懲りたらあんまり派手な事はするんじゃないよ?」

「はい…すみません……」

「分かれば良し」

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