逆さまの蝶

猫柳蝉丸

本編

 ここにあるテロリスト組織がある。

 有史以来最悪と呼ばれる環境保護過激派革命組織。

 彼等は冷酷に残虐に、しかし、華麗に目的を遂行する。

 腐敗し、堕落し、捻じれ転じた人類社会を無毒化するために。


 彼等は飛翔する。

 華麗に――

 美しく――

 獲物を追い求めて――


 その姿は蝶に例えられた。

 幾つもの組織を渡り歩き、養分を吸い上げ、また飛翔するその姿になぞらえて。

 彼等は飛翔するのだ、人類社会の浄化のために。


 彼等は十二人という少数で構成されている。

 少数で構わないのだ。

 彼等は一名一名が一騎当千。

 その気になれば一名で一都市を制圧する事も可能だろう。

 その戦闘力は公安どころか海外の軍隊にすら畏れられ、いつしか恐怖の代名詞になった。

 まるでまさしく、死を司る神の如く。


 十二名の死を司る蝶の革命組織。

 いつしか彼等は人々からこう呼ばれた。

 ラテン語であるduodenum digitorumを語源とした組織名――





 十二死蝶――と。



 彼等はその名の如く、邪悪な人類を消化していく事だろう。


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逆さまの蝶 猫柳蝉丸 @necosemimaru

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