他の国へ、どこか遠くに。

トコロテン

別の場所へ



人気がない夜の城外。

そこに2人の男女がいた。

「また来た。」


「もちろん来るよ、あなたのためにね。」


「なんで?」


「だって寂しくないの?こんな所に男一人で。」


「別に?ここなら城外だから、夜にしかいない魔物見れるし。」


「えぇ〜?ウソだー。私だったらすぐ飽きちゃうよ」


「僕と君は違うからね。」


「そうだね。でもねぇ。」


「いいじゃないか。僕はこの時間が好きだから。」


「........私もこの時間好きだよ。」

ーーーーーーーーーーー


この陣がこうだから、この部分が〜、、、


「ねぇ。」


「なに?授業中なんだけど」


「今度北の方の森行って本物の魔物見てみない?」


「いいけど。また後にして。」


「えぇー。そんなぁ!」

ゴン!

「いてっ!」


オイ、少しは集中しろ。貴族だからって将来が確定してるわけじゃないからな。


「すいません」


よし。次からはちゃんとやれよ。


「はい........はぁ」


ーーーーーーーーーーー


放課後になった。

学院が終わりみんな友達と帰っている。


「ねぇ。一緒に帰ろ!」


「分かったよ。どうせ断ってもついてくるし。」


「えへへ。」


「褒めてないからね。」

真面目な顔をして彼は言ってきた。

少し怖かった。


「ごめんなさい」


「はぁ。........行くよ。」


「っ!はーい!」

ーーーーーーーーーーー


貴女は少しは貴族としての自覚を持ちなさい!

今日も学院で騒いでいたと聞きましたよ!

全く、貴女の姉様をみてご覧なさい!

貴族としての自覚を持ち令嬢として振舞っているではありませんか!

そもそも貴女はーー


........


「またお母様に怒られちゃった。やっぱりお姉様と比べると私が無能だからかな。」


「そんな事ない。君には君のいい所がある。絶対にだ。」


「そうだったらいいんだけどね。」


「........」


「うん!こんな辛気臭い話はやめて北の方の森行きましょ!」


「っ........分かった。」

ーーーーーーーーーーー


「いやー、やっぱり本物は凄かったね。でもまさか狼に襲われるとは思わなかったよ」


「........」


「ん?どうしたの?まさか怪我してる!?」


「ちがう。」


「じゃあどうしたの?もしかして怖かった?まぁ私が風を操ってすぐに終わったけどね」


「........ちがう」


「えー、じゃあ何?教えてよ」


「もう僕とは一緒にいない方がいい」


「........なんで?まさか私のこと嫌いになった?それなら私もそこを治す「ちがう」から」


「僕と居たら君は後悔することになる」


「なんでそう思うの?」


「僕は平民、君は貴族だ君の母親も言っていただろう。令嬢として自覚を持てと。だから僕といてはそれが出来なくなってしまう」


「そんな事ないよ?」


「君が気づいていないだけだ」


「........」


「分かったらもう僕に関わらないでくれ。君のためだ」


ーーーーーーーーーーー


なあ、いつもお前あの子といるけど、最近一緒にいないよな。喧嘩でもしたのか?


「いや。違う、喧嘩ではない」


じゃあ、良かった。今度彼女のことを元気づけさせてやってくれよ。


「なぜ?」


お前知らないのか?彼女今度、他国の奴と婚約するらしいんだ。

しかも、そいつが訳アリらしくてさ。なんでも奴隷を魔法の実験道具に使うらしいんだ。

それと、そいつの正室以外は、一ヶ月程で行方不明らしい。


「........本当か?」


本当も本当、だから元気づけさせてやってくれ。


「分かった」

........


「はぁ、」

婚約するとは居ていたがまさか嫌な噂が耐えない人とは思っていなかった。

これなら彼に思いを告げておけばよかったかもしれない。断られると思うけど。


「なぁ」


「ん?なにかよう?」


「君は他国の貴族と婚約するって本当なのか?」


「そうだけど、何か問題でもあった?」


「ない。........だが、君は本当にそれでいいのか?」


「いいように見える?」


「見えない」


「でしょ、」


「........何かあったら僕に言え。」


「........?」

そう言うと彼は歩いていってしまった。

ーーーーーーーーーーー


「お母様。なぜ私を他国の貴族の婚約者にしたのですか?私よりも姉様の方が、


バチン!


「痛い」


貴女がなんで婚約出来たか知ってるわよね。

貴女の姉様の身代わりよ。

聞いたことあるわよね。貴女が婚約するのは残虐な人だって。

分かったかしら?分かったのなら消えなさい。めざわりよ。


「........っ」

私は涙ぐみそうになり、唇をかんだ。

ーーーーーーーーーーー


あれ?またあの貴族の女は休みか。

全く結婚するから何もしなくていいと考えているのだろうがな。

まあいいか。始めるぞ!


「........」


今日も彼女は来なかった。

僕が彼女に話しかけてからもうずっと来ていない。

噂によれば城下街にいるとの事なのだが。

行ってみるしかないようだ。


〜なので、ここがーー


「すみません先生。体調が悪いので早退させていただきます」


大丈夫か?早退はいいが、気をつけろよ。


「分かりました。」

........

啜り泣く声が聞こえる。

もう日も山に隠れかけている時間だ。


「やはりここにいたか」


「なんで来たのですか?学院はどうなされたのですか?」


「僕の心配はしなくていい」


「私はもう後がないのだけど、貴方はまだ先があるのではないのですか?」


「黙って答えてくれ」


「........分かりました」


「君は1週間後他国へ行くのだろう。君はそれに納得していない。そうだろ?」


「えぇ。そうなのですけど。仕方がないことですので」


「、、、正直に話してくれ」


「、、、私のだって本当は嫌だよ。だってあなたのことが大好きだもの。婚約は貴族としてしょうがないかもしれない。

だけど私はこの後死ぬ可能性が高いから」


彼女は目に涙を浮かべながら答えてくれた。


「........」


「その上私はもう家にも味方はいない。助けてくれる人なんか誰もいない。諦めるしかないんだよ」


「なら僕と逃げよう」


「........え?」


「明日の日が落ちた頃にここに来て」

ーーーーーーーーーーー


見つけたぞ!こっちだ!

逃がすな!公爵様から直接来た命令だ!


「こっち」


「........どうして助けてくれたの?」


「後で答える」


........


どこへいった!?

探せー!見つけられないと相当な罰を食らうぞ!


「まけたね。でも、まだ遠くへいこう」


「........うん」


「........僕も君のことが好きだから」


「え?」


「さっきの質問の答え」


「ん!?」


「恥ずかしいから何も言わないで。行くよ」


ーーーーーーーーーーー


「とりあえず隣町まで来たけど、どの方向に逃げる?」


「どこでもいいよ!」


「........さっきからどうしたの?態度がおかしいけど」


「なんでもないよ。ただ嬉しいだけだから」


「そうなんだ」


「うん」


「........とりあえず大陸渡ろう」

ーーーーーーーーーーー


「ここまで来ればあの国も僕達のことをおっては来れない」


「ありがとう」


「君、さっきからどうしたの?情緒不安定過ぎない?」


「だって、自分の大好きな人が一緒に逃げてくれたんだもの」


「........」


「顔真っ赤だね」


「うるさい」


ーーーーーーーーーーー


「ねぇ。あなた、」


「なに?」


「時が経つのは早いと思わない?」


「、、、うん。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

他の国へ、どこか遠くに。 トコロテン @tokorotenno-tennpra

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ