このレビューを見ている諸兄が『甘くて優しい物語』をご所望ならば、本作は自信を持ってお薦めできる作品である。
ストーキングという単語から想像されるような血生臭い事件は、少なくとも私が読んでいる段階では出てきていない。
それどころか、読んでいる間中ずっとニヤニヤしっぱなしになれる作品だ。
間違いなく、後輩女子にストーキングされる女の子、が主人公なのだが……。それを見事に、可愛らしいお話にしている。
文章のテンポも良く、表現も柔らかく優しいタッチで書かれているので、良い意味で頭を使うことなくスラスラと読めてしまう。
疲れたり辛かったりして、脳に糖分を送りたい時。
この物語を読むのは、いかがだろうか?
稲津華緒は、密かに想いを寄せる人がいた。
同じ高校に通う自分に自信が持てない先輩、篠宮沙友理だった。
そして、稲津華緒はその想いが溢れてしまって『さっちゃん先輩観察日記』をつける日々が始める。
その日記の中身は当然篠宮沙友理について。
いわゆるストーカー日記とでも言いましょうか。
どれほどやばい日記かというと、写真、行動、日常の姿などなど。
ありとあらゆることを綴ったとんでもない、通常ならやばい物で警察沙汰でもおかしくないのだが、このさっちゃんもまた感性が独特だった!?
稲津華緒×篠宮沙友理
女の子同士のラブコメ、会話の掛け合いも面白いですが、もうですね……。
トキメキシュガー間違いなしの百合コメです!!
本当に可愛い恋愛模様が詰まっていますので、ぜひご覧あれ!!
この作品を読んで感じた魅力として、
『ストーカー気質のある後輩』
『マイペースながら、自分の考えをしっかりと持っている先輩』
『小さな一歩を積み重ねて縮まっていく心の距離感』
という要素がありました。
作中での百合表現は、『仲良し』という要素で描かれていて、ゆるい空気感で描かれる関係性に微笑ましさを感じます...。
一話区切り、会話主体の作風なので、さくっと読める作品になっているのであっさりとした百合を楽しみたいという方に刺さる作品だと思います。
繊細な乙女心を表現されたされた百合だったので、グッとくるものがありました。
なので、私はこの作品に✩3評価を入れさせていただきました。
素敵な作品なのでぜひご一読ください♪
物語の主軸に据えられている「華緒の裏の顔と表の顔それぞれでの沙友理への付き合い方」や「沙友理の(本人はストーカー=華緒気づいていないが)"裏の華緒"への感情」、それに加えられたスパイスとして「沙友理の抱えている心の闇」と「主要人物達に大きく影響を与えられそうな立場・性格をしている綾や理沙などの人物たち」などなど……話が進み、読んでいけばいくほど深くストーリーが構築されていくであろう要素が盛りに盛られていて非常に期待値が高いです!
ほんわかと百合百合しいところを感じるシーンもあれば比較的ガッツリしたところもあり、キャラの行動や動きも読んでいて楽しいですね!
ゆるく読んでもちゃんと読み込んでも面白い作品だと思うので、百合好きな方にはぜひオススメです!!
沙友理を日記までつけてストーキングする女の子、華緒。
話は華緒が大好きな沙友理の姿を収められているカメラを落とし、その中身をあろうことか沙友理が見てしまうことで展開します。
普通は自分のストーカーが撮った写真なんか気持ち悪くて仕方ないはずですが、沙友理の反応はかなり特殊です。その考え方が非常に興味深く、感心させられました。
ストーカーを題材にしているといってもクドさは感じず、むしろとっつきやすいタッチでスラスラと読むことができます。
沙友理の過去の話など気になる要素が散らばっており、キャラクターセンスも抜群。今後の展開に期待が持てます。
この機会にぜひ手に取って読んでみてはいかがでしょうか。