戦士の休息
午前七時。家の前の神社へと続く石段を、書初めや正月飾りを持った参拝客がわらわらと通り過ぎる。精根尽きた俺と妖狐は、それぞれベッドの下と上で死んだ様に眠っていた。
「アルトおっはよー! あ、ノイったら机の上走り回ったんでしょー。アルトの絵がバラバラになってるしー。ありゃ、でもベッドに上がれるんだ? 小っちゃいのにえらいぞー」
ノイ? 名前まで付けやがって、里親探す気すら無いのかよ。まぁ、こいつも昨晩で懲りただろうから、今後はなでしこに対して危害を加える事も無いだろう。しかし――疲れた。ノイも体力を使い果たしたのか、何事も無かったかのようにベッドの上で大人しくなでしこに身を寄せている。
「よし、ノイ起きよっか。アルトは……もー、ほんとアルトってば寝てばっかり。まぁしょうがないか、もう15歳のお爺ちゃんだもんね」
誰だお爺ちゃんだ、猫の気も知らないで。まぁいいさ、その何にも分かってない気楽なところが、なでしこのなでしこたる所以だもんな。お爺ちゃんはまだ寝とくから、君はどんど焼きの準備でも手伝ってきなさい。
「アルト、………………………………」
――――――!?
「あ、起きた。ごはん食べる?」
耳元で囁かれた言葉に驚き思わず目を開いたが、「ふにゃん」と欠伸のついでに放ったような声で応答し、再び目を閉じる。なでしこは俺をひと撫でし、ふふっと小さく笑うと作業用の巫女袴に着替えてノイと共にさっさと部屋を出ていった。
――アルト、いつもありがとね――
俺の聞き間違いだよな? まさかなでしこが、昨晩の出来事を理解してるなんて事は…………まさかな。
そんな事より、昨晩は久々にしっかり働いたんだ。これからが俺の、至福の朝寝タイムだ。
おしまい
君は可憐なご主人さま なぎの みや @nagino_miya
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