「白い布・・・」
低迷アクション
第1話
年明けの正月休み…“友人”は親戚の家で目を覚ました時、視界全て“真っ白”な事に
驚いた。慌てて飛び起きてみれば、何の事はない。白い布が顔に被せてあるだけだ。
恐らく集まっている親戚の子供の1人が悪戯でもしたのだろう。もしかしたら、学校とかで、こーゆう遊びが流行っているのかもしれない。
立ち上がり、彼は気づいた。
(これじゃ、まるで人が死んだ時に被せる布と同じじゃないか?)
年始の朝から不機嫌になったが、とりあえず彼は朝食の席に向かった。集まった親戚一同の顔を見渡してみるが、眠そうな顔に、周りを見渡し、顔を綻ばす者と言った風な、いつもの
親戚達の様子に、不快な気持ちはすぐに吹き飛んだ。
もしかしたら、部屋にあった布が顔に落ちただけかと思ったと言う。
そんな友人に、この家の主である“叔父”が笑顔を向け、言った。
「〇〇ちゃん(友人の名前)…は、もう見たかい?」
賑やかな食卓で…の部分が聞こえなかった。返答に困る彼の様子を見て、叔父は
自身の息子を呼んだ。
「おい、〇〇ちゃんの部屋に…はちゃんと置いてきたのか?」
と確認する。甥っ子は、橋を動かしながら、
「うん、面白そうだから、顔にかけといたよ」
と答えるのと、
「馬鹿野郎!…を顔にのせる奴があるか!!」
叔父が怒声を上げ、甥の頬を張るのは同時だった。
呆気にとられる友人の前で、
「〇〇ちゃん、すまねぇ!でも、大丈夫だ。1回のせただけなら、平気だよ。
多少、気分が悪くなるけど、それだけだ。オイ、お前も謝れ!」
と半べその甥の頭を下げさせる。もう、こうなっては、たまらない。
「一体、何です?」
思わず声が出た。その様子に叔父は首を傾けた。
「もしかして、〇〇(友人の母の名前)は、話してないのか?“白い布”だよ。
死体に被せる奴な。去年、近所のじいさんの葬式で使ったのを持ってきたんだ。」
つまり、自分の顔に、かかっていたのは…
吐きそうになる友人に、叔父は、いたわるように、優しい口調で話を続ける。
「〇〇ちゃん、言ってただろう?夜勤の仕事の時に嫌な先輩がいるってさ。パワー何とかなんだろ?そいつがさ。仮眠室で寝てる時に顔に被せてやれ!4回だぞ?4回!4回までの辛抱だからな。ウチはだいたい、これで困りごとを解決してんだ。なぁ、皆?」
叔父の声に親戚達が朗らかな笑顔で頷く。友人は膝が震えるのを隠すのに必死だったと言う。彼が“それ”を持ち帰ったかどうかは聞いていない…(終)
「白い布・・・」 低迷アクション @0516001a
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