第11話 新しい環境

朝。いつも通りの朝。

いつも通りの道を通り、いつも通り学校に行く。

ただ1つ違うのは、

河本美鈴が僕を家族として接するようになったこと。


「家族」


僕は初めて「家族」が嫌いになった。


「ねぇ。」

「急に何?」

「この前は急にあんなこと言ってごめん。」

……?

何を言っている?

「どういうこと?」

「ずっと気にしてるんでしょ」

「私が家族ってこと」

……。

「…別に。」

「…そっか…。」

ごめん。河本美鈴。

君には素直に言えそうにない。

「じゃあ、今日家に行ってもいい?」


「え。」


「やっぱりダメ?」


ダメというか。


「……まぁ、いいけどさ。」


辛くないの?

まぁ、こんなこと聞けないんだけどさ。


「じゃあ、帰りは一緒に帰ろうよ」

「うん。」


キーンコーンカーンコーン。

聞きなれたチャイム。

ただ1ついつもと違うこと。

それは、


「コンビニ寄っていい?お母さんの好きな飴買いたい。」


「いいよ。」


隣に河本美鈴がいて、

僕よりも母さんのことを知ってるってことくらい。


「それにしてもさ。」


「ん?」


「あなた」


「なに。」


「いや、何も無い。」


なんだよ。

やっぱり河本美鈴も「周り」の奴らと同じか。


「あ、そう。」


「……。」


「あ、あった。」


河本美鈴が取ったのは「生姜入り蜂蜜飴」だった。


「これお母さん好きだったな…」


聞こえてるぞ。


「……。」


聞こえないふりをしとこう。

返事をどうしたらいいか分からない。


「レジ行こっか」

「うん。」


レジで会計を済まし、家に向かってると、

後ろから誰かに声をかけられた。


??「お前…」


「……?」


「あ、父さん。」


「お父さん……?」


河本美鈴が困惑してる。

無理もないか。


「お前一体何してる。」


父さんが何か怒っている。

なぜ。


「なぜこんなやつと一緒にいる」


……??

こんなやつ?


「父さんでもその発言は許さないよ。」


「お前分かってるのか。」


どういう事だ。


「っ……。」


河本美鈴……?


「そいつはお前の母さんの浮気相手の子供なんだぞ。」


あぁ……。

こういうことか……。


「父さん。知ってるよ。」


「知ってるならなぜ……」


「河本美鈴は、そういう言われ方を散々したらしい。」


同情……しているのか。

いや、違う。


「父さんまでそんな言い方しないでくれ。」


きっと

今、自分は


「そんな言い方されたくない。」


父さんに対して怒っている。

好きな人だからか。


「お前…。」


ごめん。父さん。


「父さん。自分さ」


言うね。


「河本美鈴が…」


「やめて。」


??


「ごめんなさい。今日は帰ります。」


河本美鈴?


「…帰ってくれ。これから顔も見せないでくれ。」


父さん…?


「すいません。」


河本美鈴が帰っていく。

自分から離れていく。

遠く……

遠く…




「もう」


やめて。


「関わるのは辞めてくれ。」


父さん。

なんで。

分かってくれない。


「もう、あの子と顔も合わせたくない。」


あぁ。

河本美鈴。

なんでこうも上手くいかないのだろうか。







今日

自分は日記を書けなかった。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

君の瞳に僕はいるのか ヨルミ @miu8019

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ