第10話 新しい家族

「おはよ。」


「おはよう。」


「今日はどう?」


「今日はパン食べてきた。」


「体調のこと聞いてるんだけど。」


「え笑」


「馬鹿だなぁ笑笑」


僕は

河本美鈴を家族と思うようになった。

そして、

あまり河本美鈴のことを考えないようにした。


「ねぇねぇ!今日こそ喋ろうよ!」


「うん…。」


「え?」


「前はごめんね。ちょっとイライラしちゃってて。」


「ううん!大丈夫!大丈夫!それよりあっちいって話そ!」


前まで嫌がっていた女子とも喋るようにした。

河本美鈴を考えないように。

そう、考えないようにするためだ。


「ねぇ。」


「なに?」


「私の事避けてる?」


「え?」


「私気づいてるから。」


「次避けたりするような行動したら」


あ、だめかも。


「怒るからね。」


…………。


「うん…。わかった。」


「じゃあまたね!」


「うん。」



家に帰宅してそうそうに母の仏壇の前に行った。

「ただいま。」

いつもなら今日の報告をするけど、今日はそんな気分じゃない。


また明日でいいか。


とりあえず日記だけは書くか。


いつも通り。

そう、素直に。


「今日は。」


けど、やっぱり…


「今日は特に何も無かった。」


未来の僕ごめん。

嘘ついた。けど、この感情を表せる文字が見当たらないんだ。


「おやすみ。」






「母さん。」













  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る